「PCTとの出会い」
私は東京に住むデザイナー兼イラストレーターです。このコラムでは、登山をやりはじめて、まだ3、4年目な私が山やトレイルに行けない時間に、私が描いた1枚の絵(1シーン)とともに、その絵にまつわる物語を少しだけお話しさせていただこうと思っています。第2回目の今回はアメリカのロングトレイル「PCT」に出会ったときの至って普通のお話。
まず「PCT」とは、アメリカ三大ロングトレイルのひとつ「パシフィック・クレスト・トレイル/pacific crest trail」 の略称です。(正式にはPacific Crest National Scenic Trail)メキシコからカナダに歩く約4,265kmの道のこと。このサイトを読んでらっしゃる方は だいたい知っているかと思いますが・・・笑。
タイトルからして「PCT」を歩いたような感じですが、結論から言いますと、歩いておりません!
思うのはプライスレスなので、人生のどこかで歩く!という目標を持っているだけです。今の立場上なかなかハードルが高いですが、いつの日かサウスターミナスに立ちたいと思っております。そんな私のPCTの出会いのきっかけは「テントの名前」でした。
それなりにアウトドアを楽しんでいた2018年頃、友人に山と道のショーツを教えてもらった事がきっかけで「ウルトラライト」という世界を知り、どっぷりのめり込んでいきました。ムーンライトギアさんによく通ったり、ギアを調べたり、新鮮な日々が続きました。そんな中、稜線のテント場の風にも耐えうる頑丈で軽量なテントが欲しくなりました。ARAI TENT、MSR、NEMOなどのテントで悩んでいた時に、少し変化球なZEROGRAMのテントが気になりました。
有名なDAC社も韓国だし、結露が少ないみたいだし、ハバハバの構造と似ていて、少し弱い気もしますが風速30mにも耐えうるみたいだし・・などなどで、「PCT UL2」というモデルのテントを購入しました。
そうです、そのテントの名前についていたのが「PCT」でした。そのテントの名前を検索して知るというあまりにドラマチックではない展開。笑
でもいいんです!PCTを知ることができたので。本当はもっと早く、10代20代で知りたかった・・・。そんな思いを胸に、色々調べていくと、日本人も数多く歩いてる方がいるということを知り、ロングトレイルの様々な知識だけが蓄積されていきました。
PCTを知った時、なぜ惹かれたかの要因の一つとして、4歳までアメリカで育ったということと、大学生の頃、アメリカをロードトリップし、国立公園をまわった時、アメリカの広大さ、乾いた空気、街と自然のコントラストなど様々なものに魅了され、いつしか家族ができたらキャンピングカーで旅をしたいという夢ができたのです。頭にはあるけどなかなか現実は厳しいですよね・・・。そんな夢がPCTを知ったことで、「車」から「歩く」ことに切り替わるのは容易でした。
PCTに出会い、その後さらに影響受けた方が2人います。加藤 則芳さんやソローのことは詳しい方から教えてもらっていたのですが、タイミングなのでしょうか、実際に影響受けた方は、一人は日本人の根津さんという方。現在はTRAILSで働いてらっしゃる方なのですが、何故か昔から東京の古本屋巡りと一緒に巡っていた、さかいやスポーツで「ロングトレイル はじめました」という本を購入し、活字が苦手な私ですが、頑張って読んだのを覚えています。
もう一人はニュージーランドと日本のハーフの女性で2019年にPCTを歩いた方、YouTubeでPCTの映像を公開していた方です。映像の綺麗さ、編集のうまさ、音楽、ギア紹介、インタビューなど、とても素敵でなんども見返しました。その映像の中に映っているものがひとつひとつ新鮮で刺激的で、昼休みや夜の自由時間に翻訳付きでなんども見ていました。次の動画が早く上がらないかいつもチェックしていたのを覚えています。
ということで、本日は、東京で悶々としているデザイナー、イラストレーターがPCTと出会ってしまったというお話でした。皆さんの山やトレイルの出会いはどんな感じだったのでしょう。私はこれから残りの人生、登山、湖、川のアクティビティも楽しみたいですが、パートナーとロングトレイル(PCT)を歩くことを目標に、日々歩いていきたいと思っています。
東京都在住。北アルプスでひと夏過ごしたり、バックパックでの旅、山、キャンプ、野外フェス、自然が大好きなデザイナー兼イラストレーター。アメリカをロードトリップした時のスケールの大きさに感銘を受け、やがてロングトレイルに出会い、PCT、JMTへの憧れを持ちつつ、日々絵を描いています。