春といえば「桜」が浮かぶほど、日本人にとって欠かせない花、桜。桜の歴史や、代表的な品種、ソメイヨシノについて、わかりやすくご紹介していきます。
桜はいつから日本にあるの?
桜は太古の昔から日本にあります。梅や桃はもともとは中国から伝わってきた花ですが、桜は他国から伝来したのではなく、もともと日本にあった花なのです。
日本最古の歴史書『古事記』(712年)にも桜と思われる花が出てきます。『古事記』では「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」という女神が、霞に乗って富士山の上へと飛び、そこから花の種を蒔いたという記述があるのです。絶世の美女で短命だった「木花咲耶姫」が桜の花を想起させることから、種を蒔かれた花は桜だとする説が有力になっています。
また、「さくら」という名前は「木花咲耶姫」の「さくや」という名から来ているとする説もあります。
桜の花見は平安時代から
奈良時代までは、花見といえば桜ではなく梅を見るのが主流でした。貴族の間では、舶来品である梅を眺めることがステータスだったのです。それが、平安時代には一変して、花見といえば桜になりました。そのきっかけになったのは平安時代初期の嵯峨天皇だと言い伝えられています。811年、京都の地主神社に行幸したときのこと。嵯峨天皇は、境内に咲く桜のあまりの美しさに三度も牛車を引き返させて、眺めたといいます。
それ以来、嵯峨天皇は毎年、地主神社から桜を奉納させ、梅ではなく桜の花宴を開くようになったのだそうです。地主神社は清水寺のすぐ北側にあり、縁結びの神様としても有名な神社です。嵯峨天皇を魅了した地主神社の桜は「地主桜」「御車返し(みくるまがえし)の桜」とも呼ばれます。「御車返しの桜」は一本の木に一重と八重の花を咲かせることでも知られ、「ミクルマガエシ」は正式な品種名でもあるそうです。
開花予想の基準になる桜とは
毎年注目される桜の開花予想は、主にソメイヨシノを対象として行われます。気象庁では、開花予想の対象になる桜の“標準木”を全国で58本定めていて、北海道の一部と沖縄を除いてほとんどの“標準木”はソメイヨシノです。
ソメイヨシノの長所は、葉が出る前に花が満開になり、淡いピンク一色の姿を見せてくれるところです。例えば、オオシマザクラは花と一緒に葉も出るので、ピンク一色にはなりません。また、ソメイヨシノの淡いピンク色は楚々とした美しさを好む日本人の感性にもマッチしています。人気の理由は予想がつきますが、ソメイヨシノがなぜ“標準木”に選ばれたのかは、記録が残されておらず、わかっていません。
ただ、ソメイヨシノには“標準木”に適した特性があります。日本中にあるソメイヨシノは、すべて最初に生まれた一本のソメイヨシノを接ぎ木して生まれたクローンです。そのため、一本一本の個体差がなく、条件がそろえばいっせいに咲き出します。野生のヤマザクラなどは、それぞれ遺伝子が異なり、同じ条件下でも咲いたり咲かなかったりします。ソメイヨシノにはその心配がなく、開花予想にはこの上なく適した品種なのです。
ソメイヨシノの謎
ソメイヨシノは、これだけ有名なのにもかかわらず、はっきりとした生い立ちがわからない不思議な桜です。明治、大正、昭和と120年にわたり、ソメイヨシノの起源が研究され、1995年に遺伝子研究が行われました。そこで、ようやくソメイヨシノは“エドヒガンザクラ”と“オオシマザクラの雑種”が交雑した品種だということがわかったのだそうです。
植物学的な祖先はある程度わかったものの、“オオシマザクラの雑種”の部分にはまだ研究の余地があります。今のところオオシマザクラにヤマザクラが少し混ざったものではないかと言われています。
植物の生い立ちを探る研究は、植物の性質を知り、その品種が絶えてしまうことを防ぐために行われます。日本中にたくさん植えられているソメイヨシノは絶滅してしまう心配はなさそうですが、研究者たちはソメイヨシノのルーツを知りたいという純粋な興味から今も研究を続けているのだそうです。
染井村のソメイヨシノ
そんな謎を持つソメイヨシノが歴史に初めて登場するのは江戸時代のこと。自然に生まれた桜なのか、人の手によって交雑されたのかはわかっていませんが、ソメイヨシノが江戸時代に販売されていたことは確かです。ソメイヨシノは漢字で書くと「染井吉野」。「染井吉野」ではなく「吉野桜」という名前で売られていたといいます。「吉野桜」の名は、今も桜で有名な奈良の吉野山にちなんで名づけられたのでしょう。
「染井」は、江戸時代の地名で、今の東京都豊島区にあった染井村のこと。染井村には植木職人が集まって住んでいて、長く続く美しい生け垣や庭園をつくり、そのまま樹木や花の販売もしていたのだそうです。江戸末期にこの地を訪れたプラントハンター(植物の貿易商)、ロバート・フォーチュンは、「こんなに大規模に売り物の植物が栽培されているのを見たことがない」と記しています。
染井村の植木職人たちは「吉野桜」を接ぎ木で増やし、販売していました。明治時代になってから、「染井」と「吉野桜」を合わせて、園芸雑誌上で「ソメイヨシノ」と命名され、今に至ります。今では地名としては「染井」の名は残っていませんが、豊島区巣鴨にある染井霊園には江戸時代の名残りを留めるように、今もたくさんのソメイヨシノが植えられています。
桜の花言葉と色彩心理
桜の花言葉
桜全般の花言葉は「精神美」「優美な女性」「純潔」です。桜には品種別の花言葉もあります。ソメイヨシノの花言葉は「純潔」「優れた美人」です。ソメイヨシノの淡いピンク色によく似合う花言葉ですね。
ピンク色の心理効果
ピンク色は、女性に非常に人気の高い色です。母性の色とも言われ【優しさ】【幸福】【愛情】などを表します。ピンク色は女性ホルモンの分泌を促し美容やアンチエイジングにとても効果的です。また、筋肉を緩める効果も高く緊張感を和らげてくれます。心や体の疲れが取れない時、自分に優しくしたい時などに、お部屋にピンク色の花を飾ったり、ファッションでは小物に取り入れると、情緒を安定させ心を落ち着かせてくれます。最近ではピンク色は男性にも支持され人気を高めています。不安に押しつぶされそうな時、プレッシャーに負けそうな時にはPcアイテムや職場のデスクなどに取り入れてみて下さい。
ピンク色を好む人
ピンク色を好む人は、穏やかで優しさに溢れた人です。特に淡いピンクを好む方は平和主義な方が多く気配り上手な方なので一緒にいると心が落ち着きます。ピンク色を好む人は、少し子供っぽいところがあり現実離れしたことを想像することが大好きです。甘え上手で人当たりがよいので人からも好かれます。ピンク色を好む男性は、人を助けたり、励まし上手な人です。また、女性以上に優しい一面もあるので男女問わず好かれる人です。ピンク色を好む女性は細やかで気配り上手です。優しさがとてもある人なので相手に対してもとことん尽くします。不安で怖がりの一面があるので、愛情面で人から守られること、大切にされることを求めすぎてしまうところがあります。自身は「愛されている」という実感を持つことも大切です。
■記事監修(色の心理効果):milieu
■参考著書:色と性格の心理学
おわりに
今回は【桜】と、【ピンク色の心理】について紹介しました。この機会に、お花と色彩心理から”自分らしく暮らす”ライフスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。次回は、第8回:お花で気分を変えよう!花の歴史と色彩心理【チューリップのシックな黒】です。世界各国で人気の高い【チューリップ】と【黒色】を紹介していきます。
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【 この記事を書いている人 】
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