師走になるとクリスマスツリーや年末など、一大イベントを控えてソワソワする季節です。街中でもいたるところにイルミネーションが出現したり、店先にサンタクロースが現れたり、まさにクリスマスカラーと言ったところ。
中でも代表的な飾りは「クリスマスツリー」です。オフィスビルの玄関に美しく飾られたモミの木が印象的ですが、なぜクリスマスツリーには「モミの木」が使用されているのでしょうか。
ふとした疑問ですが、意外とこたえられない難しい質問でもあります。今回は、これから迎えるクリスマスに先駆けて、なぜクリスマスツリーにはモミの木が使われているのかという謎に迫りたいと思います。
なぜクリスマスツリーにはモミの木を使うのか?
クリスマスツリーにモミの木が使われた理由には諸説あります。北欧に住んでいるゲルマン民族が、冬至のお祭りにモミの木を「神様への贈り物」として捧げたという説。1年中、緑色の常緑樹であるモミの木は、「絶えることのない永遠の命の象徴」として、寒さの厳しいヨーロッパで数少ない常緑樹として定着したそうです。
モミの木の生体
モミの木は、マツ科モミ属に分類される樹高が40mにも成長する高木樹です。北半球の寒冷地帯から湿地帯にかけて、おおよそ40種類ものモミが分布しています。日本でも、北は秋田県から南は鹿児島県屋久島にかけて、広範囲にわたって自生している樹木です。日本に自生するモミ属では、葉の大きさが最も硬く大きいという特徴が。モミの木の実は、始めは緑色をしていて成熟すると灰褐色に変化し、リスなどが種を好んで食べます。ヨーロッパなどの国によっては、モミの木が自生していないエリアも存在するので、そういうところは「ドイツトウヒ」 で代用されるエリアも少なくありません。
クリスマスツリーを装飾する風習が始まった発祥の地
クリスマスツリーにモミの木を最初に使うようになった地域は、中世のドイツだとされています。当時は「ドイツ・エルザス地方」でしたが、現在は「フランス・アルザス地方」と呼ばれる地域では、エルザス地方では「モミの木には小人が宿る」とされてきました。リンゴやワッフル、金箔やお菓子などの装飾をすると、小人が集まってきて人々にエネルギーを与えてくれるという言い伝えがあったそうです。クリスマスツリーにモミの木が使われるようになった始まりは、当時のドイツ・エルザス地方であり、これらのモミの木に関する信仰がルーツだとされています。
クリスマスの言語の由来
クリスマス(Christmas)の語源は、キリスト(Christ)と礼拝(mas)を合わせて「Christmas」という言葉が作られました。クリスマスはキリスト教の主要な行事として知られていますが、その起源は古代ローマ帝国やゲルマン民族の冬至祭だとされています。
太陽を神様として信仰する人々が多い中で、日照時間の少ない冬至は「死が近づく期間」だと言われていました。しかしその逆で、冬至を過ぎてからの日照時間が伸びる期間は「太陽神の復活」する時だとされ、冬至の境の日が祝祭とされてクリスマスが祝われたという歴史があります。
のちにキリスト教と組み合わされて、12月25日は「イエスの誕生祭」と伝えられて定着するようになりました。
海外では芳香油などの薬にも使われている
モミの木の用途は主に建材として使われることが多く、船のマストや燃料などが代表的です。また、モミの木の根っこは、よく燃えることからロウソクの代用品として使われていたこともあり、モミの英語「Fir」が「Fire(炎、松明)」の語源だという説も。そんなモミの木は、ドイツでは樹皮から採取する芳香油を生傷や潰瘍に使う薬としても使われていたそうです。なお、これらの建材以外の使用目的として使われる樹木として有名なのが「シラカバ」です。シラカバには、歯の健康に大切なキシリトールと呼ばれる甘味料が含まれていて、日本歯科医師会が推奨するガムにも使われています。
クリスマスツリーに楽しく飾り付けをしよう
モミの木と同じく、「ヒイラギ」と呼ばれる植物もクリスマスには欠かせない存在です。濃く深い緑色と鮮やかな赤い実は、まさにクリスマスカラーそのものだと感じる人も多いのではないでしょうか。
ヒイラギは昔から、邪気を追い払う魔除けの力を持つ特別な植物として扱われてきた過去があり、海外では「聖なる樹」とも言われています。クリスマスキャラクターとして人気の「トナカイ」が定着した始まりも、詩集の挿絵として描かれたトナカイが絵本として出版されて世界的に広まった歴史があるそです。
ヒイラギやトナカイの置物、またはクリスマスツリーの代用品としてコニファーの鉢植えやゴールドクレストの鉢植えに飾りつけをしても雰囲気が出ます。さまざまな飾りつけを楽しめるので、オリジナルのクリスマスツリーを飾りましょう。
最後に
クリスマスツリーにモミの木が使用されるようになった始まりには、「常緑樹である永遠の緑色=永遠の生命の象徴」という説や、「小人が宿る」などの諸説があります。クリスマスツリーに飾りつけをする習わしも、モミの木に小人が宿ると伝えられていたドイツから始まりました。
その後、キリストの誕生祭に合わせてクリスマスが祝われるようになったという歴史があります。クリスマスツリーを購入したい場合は、北欧家具として有名なIKEAで購入が可能なほか、大きな木を飾れない場合はコニファーなどの小型鉢植えでも楽しめます。
イルミネーションやトナカイなどを飾りつけることや、ヒイラギを飾ることでもクリスマスの雰囲気を楽しむことができます。今年のクリスマスは、誕生秘話やモミの木にまつわる由来、ヒイラギが飾られる理由などのクリスマスにまつわる歴史も思い浮かべながら楽しんでみてください。
【 この記事を書いている人 】
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