■登山データ
第4駐車場=(徒歩10分)⇒上日川峠バス停(1587m)⇒福ちゃん荘(1702m)=唐松尾根=雷岩(2040m)⇒大菩薩嶺(2057m)⇒雷岩=神部岩⇒大菩薩峠(1901m)⇒福ちゃん荘⇒上日川峠バス停
夏の暑さで少々お疲れ気味、でも山には行きたい、と急遽大菩薩嶺に登ることにしました。奥秩父の自然と、富士山を間近に見られる迫力の展望が人気の山です。今回は上日川峠バス停付近に車を停め、そこから唐松尾根を経て大菩薩嶺を目目指します。車で到着したのは9時過ぎ、すでに第1から第3駐車場までいっぱいで、そこから車で10分離れた大菩薩湖北岸の駐車場を案内されました。第4駐車場は広々として、余裕がありました。駐車場から整備された木道含め10分ほど歩くと、再び上日川峠に着きました。少し体をほぐしてここからスタートです。
まずは100mほどの標高差を登ります。見下ろす傍らにはこの上の山荘まで続く車道もあり、犬を連れて歩いている人もいます。登ること30分ほど、福ちゃん荘に到着しました。小屋の前には広場もあり、多くの人が休憩していました。奥にはテントを張れるスペースもあります。私たちは日帰りのショートコースですが、西側の大菩薩峠登山口や、東側の小菅村方向からも山頂を目指すこともでき、ここで一夜を明かして登頂に臨む人もいるようです。
【福ちゃん荘】
福ちゃん荘の奥に分岐があり、左手は唐松尾根コース、右手は大菩薩峠を目指すコースです。ここからは急な登りが続きます。300mほど標高差を登っていきます。徐々に樹木が低くなり、視界が開けてきます。目の前に浮かぶ夏空、一汗かいて体もほぐれ、これを見にきたのだと心躍る瞬間です。
【山頂を目指す喜び】
登山道のわきに張られたロープの向こうには草原のような景色が広がっています。この時期に咲くオレンジの紅輪花(コウリンカ)がポツポツと可憐です。2匹の鹿も現れて、絵のように美しい光景に和みました。
【斜面に咲く紅輪花】
岩場の道を登っていくと、大きな岩が転がる雷岩に到着しました。見晴らしの良いここは絶景のポイント、霧がなければ大菩薩湖の向こうに富士山を望むことができます。人懐こい鹿が近くまできて、登山者を喜ばせていました。
【雷岩付近】
大菩薩嶺の山頂はもう少し先、分岐を左に進み、木の根の張った道を進みます。10分ほどで樹木に覆われた山頂に到着しました。先ほどの岩場と違って展望はありませんが、本日の最高峰です。こちらで針葉樹林に囲まれながら、持ってきたおにぎりなどを食べました。
【大菩薩嶺山頂】
再び来た道を戻り、大菩薩峠を目指します。霧で遠くの展望はなくとも、瑞々しい稜線に心も開放されます。時折、霧の合間から大菩薩湖や山を歩く鹿の姿が見えます。大菩薩嶺から富士山までは40キロほどで、空気の澄んだ時期には間近に迫力のある姿が見られるそうです。見えなくとも、厚い霧の向こうにたたずむ富士山の存在をそこはかとなく感じられる気もして…。夏山は強い生命力に満ちています。
【稜線を歩く】
しばらくすると石が積み上げられた賽の河原に到着しました。荒涼とした景色のこちらは、旧大菩薩峠の場所だったそうです。近くには頑丈な避難小屋もありました。
【賽の河原】
大菩薩峠が見えてきました。縁のある小説から名付けられた介山荘も見えます。山荘までの岩場の道に、『大菩薩峠』を執筆した中里介山の記念碑がありました。物語は幕末の武士が大菩薩峠で一人の老人を殺傷してしまうことから始まります。大衆小説の先駆けとも言われ、人気を博したそうですが、作者の中里介山の死により小説は未完のままに終わります。登山者を見下ろすように建てられた石碑のわきを進みます。
【中里介山文学碑】
大菩薩峠に到着しました。介山荘で桃をいただきました。山梨の桃はとれたてで、新鮮で固いのが特徴です。
【介山荘】
分岐を再び福ちゃん荘へ向かう方向へ進みます。歩くこと40分ほど、道中では苔むす岩も見られて、天然の日本庭園のようでした。山へ行く喜びのひとつに、自然の美しさにふいに気づかされ、景色の中に溶け込んでいくような瞬間にありますね。
【美しい苔の風景】
再びふくちゃん荘を経て、上日川バス停まで到着しました。第4駐車場に駐車している私たちはもう少し行程を楽しむことができます。駐車場までは、展望台まで続く整備された木道もあります。雲で見えませんでしたが、富士山の見える展望台まで歩きました。
【整備された木道】
駐車場付近の道では、ヤマホタルブクロも群生していました。山中では目につくことはなかったのに、ちょっと得をした気持ちにもなれました。帰宅後、紅葉の時期の写真や動画を見ていたら、また季節やコースを変えて訪れてみたい山、と改めて思いました。
【駐車場付近に咲くヤマホタルブクロ】
&Green 公式ライター
20代後半に連れて行ってもらった低山縦走コースで登山の楽しさに目覚める。一時期体調を崩したが、数年前から関東近辺の低山中心に日帰り登山を楽しむ。コーヒーが大好き。人生後半の暮らし方についてトライアンドエラーの日々。