はじめに
私たちの生活の中にすっかり根付いているハーブ。最近では美容や健康の他、多くの分野で良い効果をもたらすとされメディアでも人気の植物です。そんなハーブの歴史をたどってみると、人間との関わりがとても深い植物のようです。今回のハーブの歴史のお話は、『魔女とハーブ』にまつわるお話です。ハーブとの間にどんな歴史が隠されていたのでしょうか。それでは「歴史の中のハーブのお話 : 第七話」をのぞいていきましょう。
第七話 : ハーブのせいで魔女狩りの標的にされてしまった女性たち
中世のヨーロッパでは、キリスト教会が宗教的な役割だけでなく、政治でも重要な役割を果たし、大きな影響力がありました。また、修道士が共同生活をする修道院は病院のような役割も担っていました。
人々は、病院に行くように修道院に行き、治療を受けていたといいます。病気や怪我に効くハーブに関する知識や使い方は、教会の中で引き継がれ、大切にされていたのです。しかし、修道院のない田舎では、人々はその恩恵を受けることができませんでした。そこで活躍するようになったのが、ハーブの知識を持つ女性たちです。
彼女たちは一般市民でありながら、ハーブを使った療法を施し、人々の悩みを聞くことや占いもしていたのでそうです。特にハーブの知識が豊富な人は「ワイズウーマン(賢い女性)」と呼ばれ、生活に欠かせない存在だったようです。
そんな女性たちの存在は、権力を持つ修道院の男たちにとっては目障りでしかありませんでした。当時は、人々の生死に関わる重要な仕事をするのは、聖職者たる自分達だという奢りや思いこみがあったのです。そういった流れの中、ハーブの知識を持つ女性たちは「魔女」とされ、当時横行していた魔女狩りの対象になってしまいました。その背景には、他の事情もあったようです。
まず、経済的な貧困です。「魔女」と見なして迫害し、犠牲者たちの金品を奪う目的もあったと見られています。さらに、ペストの流行や戦争、天災などで、社会が不安定だったことも、魔女狩りの要因になったと言われています。
先行きが見えない不安や怒りが、誤った方向へと人々を駆り立ててしまったのかもしれません。魔女狩りは、権力者だけでなく、民衆が行うこともあったのだそうです。
もし、ハーブにおまじない程度の効き目しかなくて、多くの人からの信頼を得ることもなければ、ハーブの使い手である女性たちも迫害を受けることはなかったでしょう。ハーブによって、病気が改善したり怪我が早く治ったり、という効果がたしかにあったからこそ、煙たがられてしまうことにつながりました。
魔女狩りはとても悲しい歴史ですが、ハーブの持つ力が時の権力者を脅かすほどに優れていたということを物語るものでもあります。
【イラスト:たなか鮎子】
今も世界が大変な時を迎えていますが、誰もが自由にハーブを楽しむことができるのは、喜ばしいことです。現代ではハーブの研究も進み、ハーブティーや入浴剤など、すぐに利用できる商品も多くあります。ぜひ暮らしの中にハーブを取り入れてみてはいかがでしょうか?
おわりに
いかがでしたでしょうか?第七話の今回は「ハーブのせいで魔女狩りの標的にされてしまった女性たち」をご紹介しました。
ここ地球には多くの自然が存在しています。私たちはその自然に大きく支えられながら暮らしています。そして自然にはさまざまな言い伝えや歴史が多く語られています。その物語は普段生活をする中では知ることのできないステキな物語ばかりです。さまざまな物語を通して、自然を知る、楽しむきっかけになれたら幸いです。
次回のお話は5月の公開です。第八話「クレオパトラの愛したハーブのお話」をお届けします。
記事イラスト:たなか鮎子
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【この記事を書いている人】
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