暑さの厳しい夏も終わり、涼しい季節が多くなり始めると紅葉の綺麗な秋が待ち遠しくなります。
食欲の秋に運動の秋、紅葉を目で楽しんで自然を感じながら季節のグルメを満喫する秋キャンプは魅力がいっぱいです。ですが、せっかくの秋だからキャンプを楽しみたいけど、冬眠の準備で活発になる動物や害虫に遭遇する確率も高くなる秋。そんな危険な生き物たちに出遭ってしまったらと思うと、怖くて秋キャンプに踏み出すことができない人は多いのではないでしょうか。
今回は、秋に注意するべき動物や虫への備え方や対処方法をご紹介します。危機対処能力を高めて、皆さんの安心・安全なキャンプライフにお役立てください。
秋キャンプに注意が必要な動物と虫
私たち人間以外にも食欲の秋を楽しむ生き物はたくさんいます。特に動物の中には、冬眠に備えて秋にたくさんの栄養を蓄えるために活発に動き回る動物もいます。
下記では、秋キャンプをするときに注意が必要な動物と虫をご紹介します。
秋キャンプで注意が必要な動物と昆虫
動物
- イノシシ
- カラス
- クマ
- サル
昆虫
- チャドクガ
- スズメバチ(※9月中旬〜10月下旬にかけて活発に行動して気性も荒くなる)
- ムカデ(※9月〜10月)
イノシシ、カラス、サルは年間を通して目撃情報や被害が多いですが、空きなどの人出が多くなる行楽シーズンは持ち物の食料品を狙われやすいです。また、クマは冬〜春にかけての約半年間の冬眠に備えるため、秋の間にエネルギー補給をします。食欲も旺盛な時期なので、キャンプで遭遇する確率を下げるためにも食料品の管理を徹底しましょう。
秋に注意すべき動物や虫に遭遇した時の対処法と備え
鮮やかに色づいた紅葉を楽しんでいると、ついつい注意力が薄くなってしまいますが、足元や草陰には常に注意するようにしましょう。
下記では秋のキャンプで危険な動物や害虫と遭遇してしまった場合の対処法と、未然に防ぐための事前対策をご紹介します。安心・安全の秋キャンプを思う存分楽しむための参考にしてください。
秋の危険な動物や虫に遭遇した時の対処法
もしもキャンプの散策中に危険性な動物や虫に遭遇してしまった場合は、以下の対処法で冷静に対応しましょう。
注意すべき動物
①カラス
- 主に食料を狙って周囲をうろつく。
- 荷物を狙われている状態なら、食料品をクーラーボックスなどに収納して匂いを遮断。※持ち去られないように注意しましょう。
②イノシシ
- 遭遇してしまったら、慌てずゆっくりと後ずさりながら距離を取る。
- 手元に食料がある場合は、地面に置いてゆっくりと後ずさりながらその場から逃げる。
③クマ
- もしも遭遇してしまったら、慌てずゆっくりと距離を取りながら、向こうの動きを観察する。※絶対にパニックになって大声を出したり、背を向けて急に逃げ出さないことが重要です
- 手元に食料がある場合はそっと地面に置いて、熊と自分の間に木などの障害物を挟みながらゆっくりと後退りながら逃げる。
- もしも突進して向かってきた場合は、熊撃退スプレーを噴射。スプレーには唐辛子エキスを濃縮させた成分が入っています。刺激臭で皮膚・粘膜に強い刺激を与えてクマを撃退。
※噴射距離は5m〜10m。人に向けて噴射すると、皮膚がただれたり失明の恐れがあるので絶対に人に向けない様にしましょう。
④サル
- 遭遇しても大声を出したりパニックになって騒がないこと。※騒ぐとサルを興奮状態にさせてしまい襲われる危険性が高まります。
- 目を合わせずにゆっくり後ずさる。
- エサを与えない
虫
①スズメバチ
- 興奮して大きな声を出さない、取り乱さない、走らない。大きな音を立てるとハチを刺激してしまいます。
- 腰を低くしてゆっくりと遠ざかる。近くに巣がある場合も。
- 頭や首を刺されると重症化するので、頭部周辺を手などで守る。
②チャドクガ・ムカデ
- 素手で触らずに木の枝などを使って遠くへ追い払う。
中でも怖いのが③クマによる被害です。国内で確認されている最大のクマは、北海道に生息するヒグマです。大きい個体だと体長は2.0mほどにもなる大型のクマ。北海道の中でも生息数の多い知床エリアでは、知床財団による25年以上の研究成果に基づいた、「クマに遭遇したときの対処法」→公益財団法人 知床財団:クマに出遭ったときの対処法などを紹介しています。
秋の危険な動物や虫に遭遇しないための備えと対策
先程の項目では、もしもキャンプ中に危険な動物や虫に出遭ってしまった場合の対処法を紹介しました。ですが最も効果的な方法は、彼らに遭わないための事前の備えです。
下記では、秋に注意すべき動物や虫に遭遇しないための対策をご紹介します。
秋キャンプで注意すべき動物や虫に遭遇しないための準備
- 動物よけの鈴やラジオで人の存在を伝える
- 虫除けスプレー(スズメバチには効かない)
- 素肌の露出を控える
- 食料品をロック機能付きのクーラーボックスなどにしまう
- 食事後の後片付け、残飯を徹底して片付ける
- 人気の少ない山奥などの危険なエリアに近づかない
- キャンプ場以外の場所でキャンプをしない
本当に人気のない場所というのは彼らのテリトリーです。人流のあるキャンプ場でも、大自然がすぐそばにあるので野生の動物たちも数多く生息しています。
スリルを味わうための山奥でのキャンプなどは、とても危険なので絶対にやめましょう。
なお、野生動物を追い払うために故意に動物を傷つけたり捕獲する行為は、「野犬保護法」に触れて方で裁かれるケースがあります。
野生動物への故意のエサやりも鳥獣保護法に触れるので、野生動物を見かけてもこちらからの不用意な接近は禁物です。動物との接触を防ぐことは人間への被害を防ぐ以外に、動物のためにもなります。一度人の食べ物の味を占めた個体はそれを覚え、里に降り習慣がついてしまうことから結果駆除対象となってしまったり、また道路で車にはねられる一因となります。
動物を大事にするという観点でも、食料の管理やゴミの片付けは心がけるようにしましょう。
秋に注意すべき危険な虫に襲われてしまった場合の処置
もしも動物に襲われて負傷しまった場合は、傷口からの細菌の侵入を防ぐために、すぐに水洗いと傷の手当をして病院へ向かいましょう。ですが、虫に襲われてしまった場合は、毒による被害が多いので正しい応急処置を理解しておく必要があります。
下記では、秋に注意すべき危険な虫に襲われた場合の応急処置について解説します。
危険な虫に襲われてしまった場合の対処法
①スズメバチ
- 刺されたらすぐ病院へ。
- 口で毒を吸い出す応急処置は、口の中に毒が入って口内が腫れて危険です。絶対にやめましょう。
②ムカデ
- 噛まれたららすぐ病院へ。
- 放置するとアナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。
- お湯で傷口を洗う。※ムカデに噛まれた傷口を冷やすと、余計に痛みが増すのでNGです。
- 口で毒を吸い出す行為もハチ同様に、口の中に毒が入って気道閉鎖を起こす危険性があります。
③チャドクガ
- チャドクガに刺されると、接触直後は痒みが生じ、1〜2日後には強い痒みとともに赤い発疹が現れて痛みを感じることもあります。2〜3週間は皮膚が赤く腫れあがる状態が続く。
- チャドクガの毒は熱に弱いので、43°〜46°程度のお湯で長時間洗い流してください。お湯の熱で無毒化することができます。
- チャドクガが服に接触してしまった可能性もあるので、洗濯機では洗わないように注意してください。他の洗濯物にも毒針がついてしまう危険性があります。※スチームアイロンなどをかけてからの洗濯が効果的。
まとめ
秋キャンプで注意すべき動物や虫に出遭ってしまった場合の対処法と、出会わないための事前準備は以下の内容です。
<秋に注意すべき動物と虫>
・イノシシ
・カラス
・クマ
・サル
・チャドクガ
・スズメバチ(9月中旬〜10月下旬にかけて活発に行動して気性も荒くなる)
・ムカデ(9月〜10月)
<遭遇してしまった場合の対処法>
・動物に遭遇しても「大きな声を出さない」「パニックにならない」「目を見ない」「ゆっくり後ずさって逃げる」
<遭遇しないための備え・対策>
・鈴、ラジオなどで人の存在を知らせる
・虫除けスプレー
・素手で触らない、肌の露出を控える
・危険地帯に近寄らない
・動物を傷つけると鳥獣保護法に触れてしまう
<被害に遭ってしまった場合の対処法>
①スズメバチ
・刺されたらすぐ病院へ
・口で毒を吸い出す応急処置は、口の中に毒が入って口内が腫れたりして危険。絶対✕
②ムカデ
・噛まれたららすぐ病院へ。放置するとアナフィラキシーショックを起こす危険性も
・お湯で傷口を洗う。ムカデに噛まれた傷口を冷やすと余計に痛みが増すので絶対✕。
・口で毒を吸い出すと、口の中に毒が入って気道閉鎖を起こす危険性があるので絶対✕。
③チャドクガ
・接触直後は痒みが生じる。
・1〜2日後には強い痒みとともに赤い発疹が現れる。痛みが生じることもある。
・2〜3習慣前後は皮膚が赤く腫れあがる状態が続く。
・チャドクガの毒は熱に弱いので、長時間洗う。(43°〜46°)※お湯の熱で無毒化できる
・服に接触してしまった可能性もあるので洗濯機では洗ってはいけない。※スチームアイロンなどをかけてからの洗濯が効果的。
以上、今回ご紹介した事前の備えや対策をしっかり守りましょう。一番良いのは出遭わないように工夫すること。もしも遭遇してしまった場合は、今回の内容を思い出して冷静に対処することが重要です。
危険な動物や虫に注意しながら、「食欲の秋・運動の秋・芸術の秋・イベント盛りだくさんの秋」を思う存分楽しみましょう。
【 この記事を書いている人 】
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