【銀河の話】七夕の話だけじゃない!意外と知らない?『天の川』の秘密。

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天の川=銀河?

みなさんは、「天の川」にどんなイメージがありますか。織姫と彦星が七夕の時に年に一度会う場所としてイメージする方も多いのではないでしょうか。英語では天の川をMilky Way(ミルキーウェイ:牛乳の道)と言い、こぼれた牛乳の筋として表現することもあります。天の川は、広い夜空の中でもひときわ存在感を放っていますから、世界各地で特別感のある呼び方や話が生み出されてきました。

日本の文学の世界では、「銀河」と言えば「天の川」を指すことが多いです。しかし、「銀河」と「天の川」は厳密に言えば意味するものが異なります。「銀河」とは、多くの星から成る天体のことで、宇宙にたくさん存在しています。天の川以外にも、アンドロメダ銀河も有名ですね。そして、銀河の中でも太陽系を含む銀河のことを「天の川銀河」と呼びます。私たちが普段「天の川」と呼んでいるのは、正確には「天の川銀河の恒星の光」なのです。

ちなみに、英語では天の川のことをMilky Wayではなくour Galaxy(アワーギャラクシー:私たちの銀河)と呼ぶこともあります。私たちが住んでいる地球が、天の川に含まれていることを暗に示す呼び方ですね。

回転する銀河

銀河は、実に様々な種類があります。その中でも、天の川銀河は「渦巻銀河」に該当する銀河とされています。ふんわりと渦を巻いている銀河の天体写真を見たことがあるとイメージしやすいでしょう。天の川も、全体像を見るとそのイメージ通り、緩やかに渦を巻く形をしていると考えられています。

このような、渦を巻く形になっているのは、銀河全体が回転しているからです。銀河で星が一周するには、およそ数千万年から数億年ほどかかります。ビッグバンから数えて、銀河は誕生からおよそ130億年以上たっていると考えるなら、今までに銀河は数十周回転していることになります。

それでは、銀河はなぜ鳴門の渦巻きのように、きつく巻き込む形になっていないのでしょうか?現在観測されている渦巻銀河は、どれもふんわりと渦を巻いています。この「巻き込みの困難」と呼ばれる問題の原因は解明されていません。「私たちの銀河」である天の川が、どうしてゆるやかな渦巻形なのか誰にも説明できないのは、少し不思議な感じがしますね。

天の川中心の見方

「天の川が渦巻型なら、その中心はどこにあるの?」と感じた方もいらっしゃることでしょう。天の川の中心は、いて座A*(エースター)と呼ばれる天体付近です。いて座A*は、さそり座の尻尾といて座の矢の先の間にあります。いて座A*付近に視線を向けると、天の川中心方向のため、恒星が密集しているように見え、比較的きれいな天の川を観察できます。

2022年5月12日に、天の川銀河付近のいて座A*ブラックホールの撮影に成功した、との報道がありました。銀河の中心にはたいていブラックホールが存在するのですが、ブラックホールは物質を飲み込む性質から、人の目では観察できないと考えられていました。そのため、世界中の電波望遠鏡を駆使して、特別な電波でいて座A*付近を撮影したそうです。

このプロジェクトには、日本の国立天文台も協力しています。そして、それらの撮影した画像を5年かけて合成した結果、天の川銀河の中心のブラックホールの形を把握できるようになったのでした。今回撮影された「いて座A*のブラックホールの影の写真」は、国立天文台のホームページで公開されています。いて座A*ブラックホールの影の写真は、この天体が間違いなくブラックホールであると示す揺るぎない証拠となる世界初の快挙となりました。

このたった1枚の天体写真が、多くの銀河の中心に存在すると考えられている巨大ブラックホールの働きについて貴重な手がかりを与える資料になるのです。夏の夜空に浮かぶいて座A*の方向を見るだけでは飽き足らず、「しっかりとこの目で天の川銀河の中心を見てみたい!」という方は、以下で紹介している記事のリンクから天体写真を見てみましょう。

※いて座A*の撮影に関する詳細は、国立天文台の「天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功」という記事をご覧ください。

まとめ

今回の記事では、「天の川」の天文学的な豆知識を解説しました。

「天の川」は宇宙の中に数ある「銀河」の一つにすぎません。「天の川」=「銀河」というわけではありませんので、ご注意を。また、天の川は回転している「渦巻銀河」に分類されます。しかしながら、天の川銀河がゆるやかな渦巻型である理由は解明されていません。天の川銀河の詳細も、宇宙の謎の一つなのです。

「天の川の中心を見たい!」と思ったら、いて座A*の方向を眺めてみましょう。天の川銀河の中心の方向には恒星が多く存在するため、比較的きれいな天の川を眺められます。

天の川銀河を眺めて、地球の外にある銀河にも思いを馳せるのも、夏の夜の楽しいひと時になりそうです。

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