それは本当のウルトラライトか〜アウトドアにおけるスタイルの選択について〜

アウトドア

アウトドアの向き合い方は人それぞれ

最近、アウトドアを始める人が増え、どの情報媒体でもアウトドアに関する発信を目にするようになりました。アウトドアは、子供から大人まで自然の中でのびのびと羽を伸ばし、日常生活では味わえない体験をすることができる素敵な遊びであると思っています。火のぬくもりに気付かされたり、木の葉のせせらぎに心を奪われたり、本来私たちが持っていたはずで、いつの間にか忘れてしまっていた感覚が呼び起こされ、どこからか力が湧いてくるような時間を過ごすことができます。

そして、アウトドアの向き合い方は面白いほど人それぞれだと感じています。

理由や目的、スタイルも人それぞれで、他の人の話を聞くだけで面白いです。「あそこに行った」、「この道具がいい」、「私が歩いている理由は…」と、興味のない人には何の得にもならないことを、あたかもこの世界の全てであるかのように語る、いわゆるアウトドアの沼にはまってしまったごく少数の人の話を聞くのはさらに面白いです。決まったルールが存在していないため、選択や判断は常に自分自身に委ねられます。すなわち、個人の考え方や価値観が、アウトドアをどう捉え、どの道具を使い、どう遊ぶのかの「スタイル」として直球で現れる遊びなのだと思います。

私は主に登山やロングトレイルを中心にアウトドアを堪能しています。この界隈では、最近は [ ウルトラライト ] という方法論が浸透しつつあり、厳しい山岳会の世界は廃れてきてしまっているように感じています。しかし、それも時代の流れです。どちらもいい面があります。ただ、今は “ 主流 ” が多くの人に広まっているだけなんだと思っています。それでいいと思います。もちろん、私は山岳会の存在が色濃く残る昔ながらの泥臭い登山の世界は大好きです。確かな技術力と仲間との信頼が命を左右する世界。生きていることを嫌なほど実感できる強烈な生臭さにいつものめり込んでしまいます。

周りに流されない、自分のアウトドアスタイルの選択。

さて、[ ウルトラライト(UL) ] という方法論ですが、遊び方の素晴らしい選択肢であると思います。より軽く、より快適に、よりシンプルに。そしてより遠くへ。日常のしがらみから抜け出してスキップできるような身軽さに思わず胸躍ります。シンプルな道具を使いこなすことができれば、今まで以上に濃く自然の中に溶け込み、あたかも自分が自然の一部であるかのような感覚を得ることができるようになると思うのです。

絶対に人のスタイルを否定することはしてはならないですが、最近思います。アウトドアというのは、可愛いから、みんな持っているから、今の主流だから、軽い方が楽だから、と楽観的に持ち物の判断をするべき遊びではないと思うのです。それはアウトドアほど持ち物によって生死を分ける遊びはないからです。そのため、最近浸透してきているウルトラライトというアウトドアにおける方法の選択肢の一つが、ファッションとして、ブランドとして、ただの軽量化として情報発信されているものを目にすることが多く、それでいいのだろうかと考えを巡らせています。

ルールがなく沢山の物の中から自分の判断で自由に装備を選ぶことができるアウトドアだからこそ、軽量化をするにしても、ただ軽くすればいいということではなく、その装備を選んだ理由を、アウトドアの危険性や自分の経験を踏まえた上で、堂々と言えるようになりたいと思っています。これができて初めてシンプルな道具を自分のものとして使えるようになり、ウルトラライトという一つの方法を選択したと言えるようになると思うのです。

おわりに

アウトドアの道具をシンプルにしようという思考は昔も今も変わらず、根本に存在する考え方だと思います。これを踏まえた上で、道具を選んで自分のものにするときは、自分の性に合っているもの、経験、体力や考え方に合っているものを選択し、周りに流されずに自分の中でこれが一番いいと思う道具を使ってアウトドアを満喫したいと思っています。

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