ヨーロッパでは、春の訪れを知らせる花として親しまれる【クロッカス】。花の色は、紫や黄色、白がよく見られます。クロッカスの花びらに陽が差すと、透きとおるような美しい色彩を見せてくれます。
クロッカスってどんな花?
クロッカスは、アヤメ科の球根植物。ヨーロッパから西アジアにかけて80種類以上が分布する高山植物です。日本で春に咲く球根植物といえば、チューリップやスイセンの方が知られていますが、ヨーロッパではクロッカスが春の訪れを知らせてくれる存在なのだそう。クロッカスは、とても小さな球根で手軽に植えられることから、ガーデニングでも人気があります。ヒヤシンスと同じように水耕栽培で育てることもできます。園芸用のクロッカスは、秋に植えると春にいっせいに咲き出します。数年間は植えっぱなしでも毎年咲いてくれる育てやすい花です。
クロッカスとサフランの見分け方
クロッカスによく似た混同されやすい花にサフランがあります。サフランは「世界一高価なスパイス」と言われ、紀元前から薬用や美容のために高額で取引されていました。今も、0.4グラムで500円以上の値段がついています。
そんなに高価なら、園芸品種のクロッカスからサフランを収穫してみたくなりますが、クロッカスとサフランは別の品種です。どちらもアヤメ科のサフラン属で、見た目もよく似ていますが、花の咲く時期が異なります。クロッカスは早春(2月から4月)に咲くのに対して、サフランが咲くのは晩秋(10月〜11月)です。また、花の色はクロッカスは紫、黄色、白、青など豊富な色がありますが、サフランは紫色だけです。
一番大きなちがいは、花の中央にあるめしべの長さ。クロッカスは花におさまるぐらいの短く黄色いめしべをしているのに対して、サフランは濃いオレンジ色で花から大きくはみ出るような長いめしべを持っています。この長いめしべを乾燥させると、香辛料のサフランになります。
日本でサフランといえば、鮮やかな黄色のサフランライスが身近ですが、ただ色をつけるだけでなく、身体に良い効果も期待できます。サフランは血管を広げ、血液をサラサラにしたり、中枢神経を活性化させ、記憶力を増進させると言われています。
クロッカスはいつの季語?
春の訪れを知らせてくれるクロッカスは、俳句の季語にもなっています。まだ雪が残る頃に咲き始めるクロッカスは「初春」の季語です。お店では一年中さまざまな花が手に入るようになっても、寒さの残る春の初めに野山に咲くクロッカスの姿は、しっかりと季節を感じさせてくれます。
ここで、クロッカスの特徴を表した俳句を二句紹介します。
一句目:クロッカス解けゆく雪に咲きいそぐ 山口青邨
二句目:空よりも大地に近くクロッカス 稲畑汀子
1句目は、クロッカスがまだ雪が残り、雪どけが近い早春に咲くことを表しています。2句目で表現されているのは、クロッカスの咲き方です。茎が短く地表に近いところで花開くクロッカスの特徴をよく表しています。
クロッカスにまつわる2つの神話
ヨーロッパの花には、神話が言い伝えられていることがありますが、クロッカスにも名前の由来となった神話があります。クロッカスには、2つも神話がありますので、順番に紹介していきます。
1.美少年クロッカスの神話
ギリシャ神話の一つにこんなお話があります。美少年クロッカスは、羊飼いの少女スミラックスと恋に落ちます。2人は愛し合っていましたが、神々はそれを許しませんでした。絶望したクロッカスは自ら命を絶ち、それを追ってスミラックスも命を絶ってしまいました。そのことを知った花の女神フローラは、2人を花の姿に変えました。しかし、羊飼いの少女はスミラックス(サルトリイバラ)という鋭いトゲのある花に生まれ変わったことから、花の姿になってもクロッカスと一緒にはなれなかったという悲しいお話です。
2.女神ヘルメスの婚約者クローカス
もう1つ、伝わっているのはこんな神話です。伝令の女神ヘルメスには、クローカスという婚約者がいました。ヘルメスとクローカスは、一面が雪の銀世界でソリ遊びをしていました。そのとき、突風がその場を襲い、クローカスはソリとともに谷底に落ちてしまったのです。ヘルメスがクローカスを見つけたときには、すでに息がありませんでした。ヘルメスが悲しみに暮れるなか、谷底には、たくさんの花が咲き出します。クローカスの死を悼んだヘルメスは、その花をクローカスと名づけ、これが後にクロッカスになったと伝えられています。
シクラメンの花言葉と色彩心理
クロッカスの花言葉
クロッカスの花言葉は、「青春の喜び」「切望」です。春を待ちきれないかのように、いち早く咲き出すクロッカスにぴったりの花言葉ですね。紫のクロッカスの花言葉は「愛の後悔」です。クロッカスにまつわる神話はどちらも悲しい結末だったことから、この花言葉が生まれたのかもしれません。紫色のクロッカスは、花言葉を理由に敬遠してしまうのはもったいないほど、透きとおるような美しさがあります。ぜひ花言葉は気にしないで、鑑賞したり育てたりしてみてくださいね。
紫色の心理効果
紫色は、【高貴】【神秘】【感性】などを表します。地位の高さを象徴する色で古くから高貴な色とされてきたました。対象的な二面性を持つ紫色は、情熱を表す《赤》と心を鎮める《青》が混合していることから、個性的でミステリアスな雰囲気を出す色でもあります。また、紫色は感性の色とも言われています。論理的にばかり物事を考えていると自分が本当にやりたいことがわからなくなるときがあります。そんなときに紫色は直感力を高め、《感じる》ことに優先的に働きかけてサポートしてくれる色です。
紫色は心を癒やし、病を回復させるために治療として用いられた時代があると言われています。現代でもヒーリング効果が高いとされる紫色は、医療やセラピスト、スピリチュアルな場面で多く用いられています。紫色は身体の部分で例えると頭になるのですが、日常から頭で考えすぎてしまうことが多くなると首から上の部分が疲労をすることで心にも影響を及ぼし休息が必要になることも少なくありません。
チャクラでは《第6チャクラ》を表すことからも、紫色がスピリチュアルなことに使われる経緯にの中には癒やしを求めて本能的に紫色に惹かれることがあるのかもしれません。
紫色を好む人
紫色を好む人は感覚的な人です。先述でもお伝えしましたが《情熱の赤》と《冷静の青》を合わせた二面性を持ち不思議な魅力のある人です。物事を捉える感覚が鋭く、人とは違う視点で捉えることの出来る《直感力》に優れた人です。芸術的センスが高いので、常に美しいものを求め、いろいろなことを想像して生み出す能力があります。また、紫色を好む人はとても繊細です。感性が豊かな分とても傷付きやすい一面を持っています。心が疲れたときには、しばらく人と少し距離をおき、優先的に心と体を休めることも必要です。
■記事監修(色の心理効果):milieu
■参考著書:色と性格の心理学
おわりに
今回は【クロッカス】と、【紫色の心理】について紹介しました。この機会に、お花と色彩心理から”自分らしく暮らす”ライフスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。次回は、第9回:お花で気分を変えよう!花の歴史と色彩心理【桜の上品なピンク色】です。ヨーロッパでは、春の訪れを知らせる花として親しまれるお花【桜】と【ピンク】を紹介していきます。
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【 この記事を書いている人 】
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