原始世界とIT業界を行き来して アウトドアの魅力をより深く掘り下げてみる。

アウトドア

昨今のアウトドアブームの影響はものすごく、ついにはホームセンターで本格的な道具が販売される程になりました。アウトドアの魅力といえば、おいしい空気、きれいな景色、心地の良い川のせせらぎ・・・いわゆる自然を満喫するというような内容は随所で言われておりますが、今回はもっと深く切り込んでいこうと思います。

結局のところ、それら自然を満喫することで何がもたらされるのか。

原始の世界とITを行き来する生活をする私がこの視点でこそ感じることができた、ただ楽しかったでは終わらない、アウトドアが持つ究極的な魅力について半分随筆のようなスタイルで私の考えを書いていきます。

原始の世界とITを行き来する生活

私は山形県在住で、1週間7日のうち、5日はIT業界で働き、2日は深い山に入る生活を送っています。主なフィ―ルドは自宅から眺めることもできる絶好の遊び場、朝日連峰。

特にこの季節は、沢を練り歩くのが大好きです。人の息がかからない、まさしく幽玄という表現がふさわしいような源流域まで沢を遡行することが多く、毎週その懐の巨大さに驚かされます。

不可抗力感と表現すべきなのでしょうか、あの中にいると、小さいことから大きいことまで、すべての出来事が抗うことができない運命のように感じられ、逆らうことができぬまま山のペースで時間が過ぎていきます。

ここでは財布に入ったお金は何の役にも立たず、いつもの私の職場とも言えるインターネットの電波はみじんも届きません。熊やカモシカが獣道を作り、滝壺をのぞけばイワナがわんさかと泳いでいます。ここでは私もそれら動物と同じ土俵にいます。人間だからという特別はここでは無効の世界です。

そして迎える月曜日。

朝から黒い画面にプログラミング言語を入力し、コンピューターに命令をする日々が始まります。会社の人と打ち合わせがあり、案件の進め方やお金の話もします。できるだけいいものを作ろうと、試行錯誤を繰り返します。

先に言っておきますが、そこに不満があるということではありません。むしろ、大好きな仕事です。

ただ、この両極端とも言える世界を行き来する生活を続けていると、何かとてつもなく重要なものを見落としている気がしてならないのです。

原始に近い世界と現代の行き来をする事による、ある種の温故知新のようなものでしょうか。おそらくそれは何か一つのものではなく、様々な要素の断片が集まってなんとなく形作っていうように見える複合体のようなものなのです。

そしてそこに、この世界を生きるために生ずる様々な課題のヒントがふんだんに詰まっている気がしてならないのです。

難しいのは、その何かを追い求めようとどちらの世界に入り浸りすぎても、両世界は時折双方を理解できない集団として捉えやすくなってしまうことがあるということでした。

ひらたく言えば「そんなことばかりやっていないで真面目に仕事するべきだ」の系統と「仕事をするために生きているのではない」の系統の双方の意見は親和性が限りなく低く、またそのどちらかに傾倒してはその答えは出ないであろうという私なりの見解です。

結局のところ、その本質は物事を断定する考え方そのものが自分を苦しめるという一点に尽きるのでしょうが、すべての断定が良くないこととも言い切れないのがまた難しく面白いところなのでしょう。

私が思うアウトドアの魅力とは

皆さんは、野外活動で何を感じ、何を考えますか?そしてその活動を終え、街の中の生活に戻ったとき、どう感じますか?

これこそが、私が思うアウトドアの最大の魅力です。おいしい空気、きれいな景色、心地の良いせせらぎに癒やされ、満喫するというのはあくまで表面の顔。それによってもたらされるのものは非常に多く、その一つとして実は人間社会でどう生きるかを考え込むことができる、社会の休憩時間でもあるという反面が存在すると言えると私は思います。

社会の休憩時間と言ってしまえば多趣味や複数コミュニティに属することの利点と同じように見えますが、アウトドアにはそれらにはない決定的な違いがあります。それは、人間世界からの隔絶です。もちろん、キャンプのような活動ではその世界までは入れないですが、入り口となっていることは明らかであり、またそれに似た体験をすることは可能でしょう。

計り知れないアウトドアの魅力

今回は小難しいことをつらつらと書いてしまったかもしれませんが、ここまではあくまで私の持論です。では、最後に視点を自分自身からアウトドアを趣味とする人間全般に変えてみましょう。

何かをすることでもたらされるのものは、人によって違うということは容易に想像がつきます。

つまりそれによって発生する二次的効果と、人間世界からの隔絶という事象の融合が生み出す相乗効果の存在が計り知れない。そこまでが万人に共通して言うことができるアウトドアの魅力です。そしてもちろん、その結果が決まったものではなく、人によって変化するのも魅力です。

新型コロナウイルスの蔓延で始まったアウトドアブームは一見「自然に癒やされに行く」ように見えて、実はコロナによってわかりやすくなってしまった社会の様々な部分に対してどう向き合っていくべきなのかを考えさせる場を多くの人に提供している自然発生型社会休憩所にもなっているとも言えます。もしくはかつてのヒッピー文化のようなものが形を変えて再来しているというような表現もできるのでしょう。

結局の所、どう表現しても正解といい切ることができず、限りなく難解なものになってしまうからこそ、「自然を満喫」という端的な表現がこの世に溢れていたりするのでしょうか。つまり、「自然を満喫。あとは自分で感じて考えろ」これこそが巷に蔓延するあの言葉の原文なのかもしれませんね。

皆さまは、地球という広大なフィールドを前に何を考えますか??

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