&Green登山塾 :「登山を始めたいけど何から始めたら良いのか分からない」という方に向けて、キャラクターを使用しながら山の正しい知識と方法をわかりやすく解説しています。
登山に必要な知識を理解して知っておくべき大切な事を学ぼう!というコーナ
谷尾くん:山登り初心者の大学生。活発で好奇心旺盛。山頂で朝日を眺めることや野山で寝泊まりすることが密かな夢。体力には自信がある。
柏木さん:山登り初心者の大学生。谷尾くんと幼馴染で同級生。体を動かす事が大好き。
いつか北アルプスに登りたいと思っているけど不安。実は少し高所恐怖症。
山野先生:二人に山のことを教える先生。誰でも安全に楽しく山登りができる世の中を創ることを目指して日々奮闘中!好きな山は赤岳。趣味は下山後にビールを飲むこと。
仙人:肝心なときに登場する山の達人。山野先生のかつての師匠。&Gr
第5回「山に登ろう②」
今回登る山:荒倉山(山形県鶴岡市)標高307m海に面している為日本海の展望が抜群。登山道の手入れがよく行き届いている、非常に登りやすい山。途中に避難小屋もある。
――午前6時@登山口――
おはよう!みんな元気かな?さぁ、今日はいよいよ山に登るよ!
先生・・・思っていた以上にものすごく朝が早いですね・・。
大きな山になると3時起床なんてこともザラだよ、今のうちに早起きと山の朝に慣れておこう!
はい!
はい!
よし!では山に入る前に、みんなで再度ルートの確認をしよう!
はい!えっと・・この尾根を登って、分岐を左に・・・あとは、ここに小屋があって、そこをまっすぐ・・・で、同じ道で戻る・・・ですね!
そうだね!今回は同じ道をたどって下山する「ピストン」山行だよ!じゃあ、あとは準備運動をして、出発だっ!
はい!行きましょう!
はい!
――山に入る――
お、早速登山道の入口だね。ここからは一列に並ぶよ!並び順は①リーダーが一番後ろ、②サブリーダーが先頭、③初心者や経験の浅い方が真ん中(前から二番目)という順番だ!
そんな決まりがあるんですね!
そうなんだ!後ろになればなるほど前にいる人のペースの影響を受けるから、体力がある人じゃないと後ろはきついんだ。
後は、パーティ全体を見渡すことができるから、リーダーは最後尾、先頭は道に対してより多くの注意力を使うからサブリーダー、そして2番目は、前方の人のペースを受けにくい、かつ周りの気を使うことも少ないこの位置は経験の一番少ない方や初心者がこの場所につくんだ!
今日みたいな場合は、2人とも経験値が少ない。そういった場合には先頭と2番目をローテーションしながら登ってもいいんだよ。なので、今日は僕が後ろから全体を見るようにするってことだ。
よ、よろしくおねがいします!
よ、よろしくおねがいします!
――そして、ひたすら登る――
それにしてもいい景色ですね!
うん!すごく気持ちがいいね〜!この感覚はどの山に行っても一緒。この感覚を味わうにつれて、もっと山が好きになれると思うよ!
秋がかった木々もすごく綺麗ですね。この実なんて、なんだか美味しそう
はははっ!こうして山を見渡してみると、ここにある実は、みんなが食べているものや薬に利用できるものも結構生えてるんだよ!
え?!薬に利用?食べてるもの?・・って・・そんな身近にあるものなんですか??
うん、あるんだよ。例えばコレッ!何かわかるかい?
う〜ん・・固くてザラザラしていますね・・・。
実はコレッ!柏餅でおなじみのカシワだよ。
!!
あとは・・そうだな・・コレとか!
・・・なんですかコレ・・?なんか実がなっていますが・・・。
コレは山椒の仲間だよ!実際に食卓に出るものとはちょっと種類が違うけどね。
!!うな重にかけるやつ!
そう!あとは・・・・コレ!サルトリイバラっていうんだ。解毒作用があって薬として利用されることのある木なんだ!
す・・すご!こ、これみんな持って帰りたい・・・です。
うん、そうだよね。気持ちはわかる!でも、残念ながらそれは駄目なんだ。山は、人が所有しているものなんだ。ほら、あそこを見てごらん?注意書きがある!
本当だぁ・・・。
ともかく、こうやって生えている植物が何なのかわかるようになってくると、山登りも更に楽しさが増すもの!さっ!続きを登ろう!
はい!
あ!分かれ道・・・
お、偉い!分岐で一旦ストップは大事だね!道を把握していたとしても、身体の疲れや曖昧な記憶で間違った方向に進む事が原因で「道迷い遭難」が起こってしまうんだ。
よかった・・。私の判断が間違っていなくて・・これ、左でいいですよね??
うん!大丈夫そうだね!
お!あれは・・・小屋?ですかね?
そうだね。あれは地図にあった「ほっとハウス」って建物だね。じゃあ、ちょっと休憩しようか!
はい!
しかし、こんな山の中に建てるなんてすごいですね。
この綺麗な登山道もそうなんだけど、こうやって管理してくれている人たちが居てくれるおかげで、ぼくたちは登山をすることができるんだよ。地元の森林保存会や山岳会、岳友会、NPO、自治体など色々な方々が活動してくれているんだ。
知らなかったです・・。人が登っているうちに自然と道ができているのかと思いました。
もちろん!そういう場所もあるよ。でも、多くはこうやって管理してくれている人がいての登山道なんだよ。こういった事は知らなくても山には登れるけど、知っておくことで山に対する気持ちも変わってくるのではないかな!
はい!知れてよかったです。
まあ、頭の片隅に入れておいてもらえればいいさ!さっ、行こうか!
ハア・・ハア・・・けっこう斜度がきつくなってきました・・・。
おお、ではゆっくり行こう。張り切って登ろうとすると後で身体にひびくからね。焦らずゆっくり登ると良いよ!
は、はい・・・。
お!あれは山頂だね!ほら、あそこ、看板があるよ!
お、遂にですか!!
やったね!
でも先生・・木々に囲まれて・・・景色はあまり良くないんですね・・。
そういう山もよくあるんだ。でも、それもまた立派な山の個性なんだ。ほら、ここなんて平らだから、広い山頂でお昼寝なんかしたら気持ち良いんじゃない?
本当ですね!そういう味わい方もあるんですね。
人と山に迷惑をかけなければ色々楽しみ方はあるもんさ!
お、他の登山者が来たみたいだね。こんにちは〜!
こんにちは〜
こんにちは〜
見ず知らずの人にいきなり挨拶するものなんですか??
そうだね。山の中では暗黙のルールというか、マナーと言うか・・色々な理由があるかな。
しっかり挨拶することで互いの意識が朦朧(もうろう)としてないか確認できたりする。顔も覚えやすくなるから、遭難が起きた際の情報提供もやりやすくなったりね。
そんなことがあるんですね!
そう。他にも、
①.すれ違う時には、登ってくる人が優先。
②.よける人は山に背を向ける。
③.後ろから人が来た時はすみやかに先を譲る。(無理のない場所と範囲で)
④.譲ってもらう方は一言お礼を言う。等
この4つは最低限知っておこう!基本中の基本だよ!
山側に背を・・・?
谷側に背を向けると、もし落下になると、頭から転がってしまう状況になるよね?
でも、山側に背を向けておけば万が一落下した場合でも尻滑りの状態になるんだ。なのでこれは安全対策!ザックを背負う時も、山側に背を向けながら、ザックの向きは動かさず体を反転させるようにして背負うんだよ!
今日みたいな小さいザックの時は良いかな?と、いいたいところだけれど、癖をつけるためにも最初は特に意識しておこう!疲れたときほど癖は出やすいから!
なるほど・・意識します!
本当はもっともっと言わなきゃいけないことが山ほどあるんだけど・・。今はネット上で検索して情報を得ることができる。なので、独学で登山を始める人がすごく多いんだ・・・。本来なら、山岳会等の教育機関のような役割をする団体があるからその中で学んでいくものなんだけど・・。
近年、山では遭難者数がものすごく増えているんだ・・。なので、これを読んでくれている皆も、積極的に講習会に参加したり、経験者の元学んでみてね!
さ、そろそろ下山しようっ!
はい!大切なことを教えてくれてありがとうございます!
少しずつでも、しっかり意識していきたいです!
いい心がけだね。ありがとう。
では、その素晴らしい心がけでで、下山はより一層に気を使っていくよ!登らないから疲れないなんて思ってると痛い目見るぞ〜(笑)
え・・下山のほうが楽じゃ・・ないんですか??
階段で登るときと降りる時、転んだ場合どちらが痛いと思う??
あっ!!そっか!なるほど!!
そうゆうこと!道を誤った場合には、登り直しになってしまうしね!
ーー下山ーー
さ、無事下山できたね!かかった時間は・・・お、標準タイムよりちょっと早いくらいかな?予定通り行動できてるからOKだね!
ひゃ〜疲れましたね!
でもそれがスッキリするんだよ(笑)さ、あとはストレッチするなりして帰ろう!
はい!
はい!
今回のまとめ:
・早朝開始、昼過ぎ下山!
・分岐などの迷いやすいポイントでは記憶を過信せずしっかり道を確認しよう
・すれ違う時は登りが優先、避ける時は山側に!
・挨拶をしよう
・山や山の植物には所有者がいる
無事降りてくることが出来たようじゃな!山は降りた後のことも大事じゃ。ストレッチなどの体のケアはもちろん、振り返って反省会をするところもあるぞ。
どんなところが楽しかったか、危なかったか、良かったか、よく思い返すことで次のステップアップにつながるぞ〜
&Green 公式ライター/ webクリエイター
幼い頃から自然と親しむことで山の世界に没頭し、大学時代は林学を学ぶ傍らワンゲルに所属。海外トレイル、クライミング、ヒマラヤの高所登山から山釣りまであらゆる手段で山遊びに興じながら株式会社アンドに勤務する。&Green運営・管理を担当。最近は「10秒山辞典」なるものを作成しているとか。