梅雨の時期に仕込む暮らしのこと

暮らし

梅の雨と書いて「梅雨(つゆ)」。一説にはこの時期に梅の実が実ることからきているそうです。また太陽の黄経が80°に達した瞬間が含まれる日を「入梅(にゅうばい・つゆいり)」とも呼びます。桜の開花より早く、冬眠からの目覚めのように春を告げる梅は、瑞々しい夏の使者でもあるのですね。

アウトドア派にとってはなかなか予定が立てづらい時期かもしれませんが、家でできることを楽しむのもいい季節です。ずぼらな私ですが、毎年しているこの時期の仕込みふたつをご紹介します。

【1.ドクダミと梅の仕込み】

梅酒

梅の実が青くさわやかに実りはじめる頃は梅雨の入りの時期と重なります。やがて梅が黄色に熟してくる頃は夏至の時期、いよいよ梅雨明けかという時期の梅は完熟し、果実らしい芳香を漂わせます。季節の移ろいを梅の変化になぞらえて表す言葉が旧暦にはありますが、「梅仕事」という言葉は俳句の季語にもなっています。実りはじめの青い梅を使う「梅仕事」が梅酒です。

併せて材料のアレンジ方法も紹介します。

材料

青梅1㎏
ホワイトリカーなどアルコール度35%程度のお酒 1.8リットル
氷砂糖500g~800g
広口瓶 4リットルくらい
※基本の分量はそれぞれ同じ比率で減らしても作れます。

  1. 梅酒を入れる容器を熱湯などで消毒して、しっかりと乾かしておく
  2. きれいな水で梅の実を洗う。表面の細かな毛を取るような感じで優しく洗う
  3. たっぷりの水につけてあく抜きする(2、3時間が目安)
  4. 水を切り、一粒ずつキッチンペーパーや清潔なふきんなどで水気を取る
  5. 梅の実のへたを取る(実を傷つけないように竹串で)
  6. 容器に梅と氷砂糖を交互に入れていく
  7. 最後に静かにホワイトリカーを容器に注ぐ

【2.梅の下ごしらえ】

水気には気を使いますが、簡単ですね。あとは涼しい場所で保管し、たまに氷砂糖が溶けやすいよう、容器を揺すってあげるといいそうです。3か月を過ぎたころから飲めますが、時間がたつほど味わい深くなります。

ホワイトリカーは癖がなく、梅酒に適していますが、焼酎、ウィスキー、ブランデーなど、アルコール度20度以上であれば、お好みのお酒でも作れます。また氷砂糖が使われるのは、溶け具合が梅エキスとなじみやすいというのもあるそうですが、キビ砂糖や黒糖などを使ってもいいそうです。

梅シロップ(お酒の苦手な方へ)

材料

青梅1㎏
氷砂糖1㎏
※下ごしらえの部分(行程1~5)までは梅酒と一緒です。

  1. 青梅をジップロックなどに入れ、一晩冷凍庫で保存する(こうすることで繊維が破壊され、梅のエキスが出やすくなるそうです)
  2. 容器に梅と氷砂糖を交互に入れていく
  3. 氷砂糖が溶けるまで1週間から10日ほど、時々容器を揺すりながら冷暗室で保管する
  4. 氷砂糖が溶けてシロップが出来たら梅の実をとりだす(保存は冷蔵庫)

炭酸で割ればおいしい梅ソーダに、暑い季節には梅の実に含まれるクエン酸で疲労回復の効果も期待できます。

ドクダミ化粧水

青梅の季節はドクダミのパワーが最強になる季節でもあります。毎年、同じ時期にドクダミ化粧水の仕込みも行います。街中のいたるところで生育しているドクダミですが、根を張って、例年同じところに群生する特徴があります。できれば車道から離れていて、人があまり踏み込まないような場所を見つけておくといいですね。

【3.秘密の?ドクダミ畑】

実はこの化粧水を教えてくれたのは、義弟の親族の方で、山梨の山中で仙人のように暮らされていました。当時、吹き出物に悩んでいたのが治まり、それから20年以上せっせと作り続けています。
※アルコールに弱い方は使用をお控えください。

材料

ドクダミ40g(乾燥したもの)
米焼酎 1.8リットル
グリセリン 200g(薬局などで入手)

  1. 洗ったドクダミを新聞紙の上などで乾かし、充分に乾燥させる
  2. 消毒した容器にドクダミを入れ、焼酎を注ぐ
  3. 半年ほどつけこんだあと、ドクダミを取り出し、グリセリンを合わせて完成

※グリセリンはとろみになるので、分量通りでなくても、好みの粘度で調整してもよい

乾燥させたドクダミは重量が減るので、多めに採取する必要があります。またこの分量では大量の化粧水ができます。使用量を考えて多い場合は、同じ比率で減量して作成してくださいね。

ドクダミは十薬とも呼ばれ、さまざまな薬効があることで知られています。非常に自生力が強く、地下に根を広げて張ります。花は先端に小さくついている黄色い穂上の部分で、花びらのように見える白色の部分は苞(ほう)にあたります。先述の仙人の教えでは、この白い部分が見えている時のドクダミの薬効が一番とのことです。効能的には葉や茎の部分でも問題ありませんが、昨年は花から白い苞部分だけを採取して仕込みました。(分量を採取するのが大変だったので、今年もそうするかは未定です)

家に持ち込んだ直後は、梅の実の瑞々しさやドクダミの香りに、さっきまで外の世界で生きていた植物の力を感じます。毎年梅雨の一日は、その力を取り入れるべく仕込みの一日です。

楽しく梅雨の一日をお過ごしくださいね。

【4.仕込みから半年経過の梅酒と化粧水】

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