はじめに
&Greenでは、アウトドア情報に限らず、自然にまつわるさまざまな雑学をお届けしております。このコーナーでは、ハーブにまつわる物語を通してハーブの歴史をお伝えしていきます。ハーブが好きな方はもちろん、ハーブのことを知らない方にも楽しんでいただける内容になっております。
私たちの生活の中にすっかり根付いているハーブ。最近では美容や健康の他、多くの分野で良い効果をもたらすとされメディアでも人気の植物です。そんなハーブの歴史をたどってみると、人間との関わりがとても深い植物のようです。どのような関わりがあったのか、ハーブに伝わる知られざる歴史とその物語をのぞいていきましょう。
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ここはハーブ村。双子のきょうだいローズちゃんとバジルくんが朝から晩までハーブの研究をしています。今日も何やら調べものをしているようです。
第一話 : ” 聖母マリアのバラ “と名づけられたハーブ
日本人でも、聖母マリアと言えば「イエス・キリストの母」と誰もがわかるほど有名なマリア様。キリスト教信仰する人の多いヨーロッパではさらに特別な存在です。絵画に描かれた聖母マリアは、多くの場合、赤い服に濃い青色のマントを羽織っています。
カトリックでは、聖母マリアは「マリア・ステラ(海の星)」と喩えられることがあるため、マントの色が深い海のような色なのだそうです。そんなマリア様を象徴する青色のマントにまつわるエピソードを持つ“ハーブ”があるのです。それは「ローズマリー」です。
イエス・キリストがまだ幼い頃のことです。のちにイエスが王になるという予言を恐れたユダヤ王国のヘロデ王は、イエスをなきものにしようとします。そのとき天使が聖母マリアの元へと現れ「エジプトに逃れるように」と忠告したのです。軍隊に追われながらも、聖母マリアはイエスを連れ、エジプトへと急ぎました。白い花が咲く低木の下にたどり着いた聖母マリアは、木の上から身につけていた青いマントを覆って、自らとイエスの身を隠したのです。すると不思議なことに一夜にして白い花は青い色へと変わってゆきました。
【イラスト:たなか鮎子】
青い花を咲かせた低木は、マリア様とイエス・.キリストの命を救った植物として、その後、「ローズマリー(マリアのバラ)」と呼ばれるようになったのだそうです。この言い伝えから、ローズマリーはイエス・キリストの生涯と同じ33年が経つと枯れてしまうという説や、ローズマリーは聖母マリアが追っ手から逃れた時の幼いイエスの身長を超えることはない、という説もあるのだそうです。
ローズマリーは、今でもヨーロッパではイエス・キリストの命を守り聖母マリアを象徴する神聖なハーブとされています。結婚式のときには花嫁の花冠に使われることがあります。また、お葬式のときには、棺桶にローズマリー置く風習もあるのだそうです。
そして、イエス・キリストの生誕祭であるクリスマスにもローズマリーは欠かせない存在となっています。ローストチキンを焼くときにも香りづけにローズマリーを使いますし、ローズマリーの小枝を編んでつくるリースは、クリスマスの定番となっています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?第一話の今回は「ローズマリーのお話」をご紹介しました。
ここ地球には多くの自然が存在しています。私たちはその自然に大きく支えられながら暮らしています。そして自然にはさまざまな言い伝えや歴史が多く語られています。その物語は普段生活をする中では知ることのできないステキな物語ばかりです。さまざまな物語を通して、自然を楽しむきっかけになれたら幸いです。
次回のお話は一月の公開です。第二話「ローマ人が食べ尽くした幻のハーブ」をお届けします。
記事イラスト:たなか鮎子
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【この記事を書いている人】
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