コラム : 登るだけが登山じゃない!生き物を観察 しながら山を歩いてみませんか?① ~哺乳類編~】

山は楽しい場所!

まだ日が昇らないような時間に目覚め、お気に入りの山へ。 やわらかな朝日を浴びながら頭を起こしつつ、山のいただきを目指す。 開ける展望。その素晴らしい眺めを楽しむ・・・これが、登山の醍醐味。しかし、山登りの楽しみは、それだけではありません。仲間との思い出、道中でのハプニング、休憩で食べたご飯の味、そして・・・

\\ 生き物観察っ!! //

このコラムでは、生き物を見に登山をしているといっても過言ではない筆者が、山で出会うさまざまな生き物やその痕跡について、紹介していきます。

動物編

山を登っていると、実に多くの生き物に出会うことができます。

また、一般的に広く知られていることでも、山には「実はそうなんだ!」といった驚きが、至るところに転がっているのです。知れば知るほど、あなたも山での滞在が楽しくなってくるでしょう。今回のコラムでは「動物」をピックアップ。

では早速、観察していきましょう!

一番良く出会うのは「シカ」

こちら、当コラムのサムネイルにもなっている、シカです。

この写真、実は望遠レンズではなく、スマホで撮影しています。場所は八ヶ岳の赤岳山荘付近

え?逃げないんですかって?実は、シカは山中で鉢合わせしても、すぐには逃げ出しません。

しばらくの間、相手の様子をうかがうことがほとんど。この時は子鹿と連れ立っており、明らかにこちらを警戒していました。

登山をしていると、一番良く出会う動物です。そうそう、シカはこの時期(3月ごろ)になると角を落としますよ。シカの雄は毎年、根元から角を脱落させ、新しい角を生やします。ですので、3月ごろにシカが多い山域に行けば、ひょっとしたら立派なシカ角 が拾えるかも知れません。

また、こんな可愛い顔したシカですが、農業に最も被害を与えている動物とい う一面も。彼らによる年間の農業被害額は、なんと60億円近くにも上ります。

シカは非常に繁殖率が高く、すぐに個体数が増えてしまうのが要因です。さらに農業だけではなく、林業にも影響があります。なぜなら、彼らは樹皮をよく食べるから。

樹木は、樹皮の下の「形成層」と呼ばれる組織から太く成長します。内側から ではなく、外側をカバーしていくように育つのです。ところが、樹皮を食べら れてしまうと、形成層が破壊され、その木は育たなくなってしまいます。

林野庁による令和元年度のデータでは、主要な野生鳥獣による森林破壊面積の 内、7割はシカによるものなんですって。その被害は深刻です。ただ、樹木なら何でも食べるのかというとそうでもなく、好き嫌いがあります。

可愛いですよね。動物にも食べ物の好き嫌いがあるって!

シカは、人工林ではスギやヒノキ、天然林ではミズキやリョウブをよく食べます。

逆に、アセビやオオバアサガラ、コウヤボウキのような樹木はあまり好みません。シカに食べられ、彼らが届く高さまで枝葉が丸裸になっていることを「ディア ライン(鹿摂食線)」と言ったり。

前置きが長くなってしまいましたが、好き嫌いがあるということは?そう、そこに生えている植物の種類の偏りから、その森にいるシカの数が多いか少ないかを察知することができるのです。

動物たちが歩くルート「 けもの道 」

つづいてはコチラ。

草が生い茂る雑木林の中で、線上の植物が薄くなっている部分があることに気が付きませんか?これは「けもの道(獣道)」と呼ばれるものです。動物は、自由気ままに森の中を縦横無尽に動くわけではありません。動物のバランス感覚は鋭く、その山で一番歩きやすい「道」を持っています。彼らは、決まったルートを通っているんですよ。

けもの道での見どころは、やはり動物たちの足跡。ヒヅメや肉球の形、爪の跡の有無など、足跡の主によって1つ1つ、つき方が変わります。

このエリアには、どんな動物が生息しているのか?探索していると、その動物 の生活が見えてきます。山の自然を、より体感できますよ。ですが、動物たちの足跡は多種多様で、ここでは紹介しきれません。

そこで山に行くときは、こちらの「ハンディ図鑑 」を持っていくといいですよ!

\\フィールドに持っていくならコレがオススメ//

この「哺乳類の足型・足跡ハンドブック」には、日本の山で見かける150種類 の哺乳類の足跡が、すべて実物大で掲載されています。

また、足跡の形だけではなく、歩行パターンまで載る「足跡の検索表」も付属 していますので、目の前にいなくても動物が特定できますよ。サイズもB6判と小さめですので、山へ携行するのにおすすめです。

さまざまな動物が行き交う様子が観察でき、その散策はたいへん楽しい、けもの道。ですが、初心者の登山においては、ぜひ気をつけていただきたいポイン トでもあります。

なぜなら、登山道と勘違いしたり、深入りしたりすると、遭難してしまう恐れがあるからです。けもの道は一見、登山道のように見えますので、迷い込んでしまう登山者が後を立ちません。

また、散策に夢中になるあまり登山道から離れ、方向感覚を見 失ってしまうことがあるのも、山の恐ろしい一面です。

正規ルートからあまり外れないように、慎重な行動を心がけましょう!

森の中にチョコレート!?「 イノシシ 」の痕跡

登山中にこんなモノを見たことはありませんか?

色や形、ツヤといい、まさに森のチョコレート。実はコレ、イノシシのフンなんです。出したてのときはもう少し黒いのですが、乾燥するとご覧のように変化しま す。イノシシのフンはあまり臭くありませんので、ご安心ください。

イノシシも獣害が問題となっています。特に、野生のイノシシが激増し、その生息域も拡大している、千葉県の山が有名です。

千葉の山には、彼らの好物であるドングリが多いことが、原因の1つでしょう。よく食べるので、ドングリを食べさせる「イベリコ豚」に例えて、イベリコイノシシなんて言われ方もされています。そう聞くと、美味しそうですね!?

また、イノシシの痕跡は、物凄く分かりやすいのが特徴。森の中でこのような光景↓を見たら、間違いなくイノシシですよ。

これは、食べ物を探して地面を掘ったあとです。

イノシシは人間に対しても、突進したり噛み付いたりしますので、なるべく山 中では出会いたくないですが、痕跡を観察するならば非常に分かりやすく面白いですよ。

もし出会ってしまった場合でも慌てないでください。刺激せずに距離をとっ て、逃げるまで待ちましょう。

新鮮なフンを見てヒヤッ!「 クマ 」の痕跡

誰だ!ここにウンチをしたのは!?

ってまあ、犯人は分かっているんですけどね。これはクマのフンです。森の中で出会う動物の中では比較的、ウンチらしい?形をしています。

春先に、山で新鮮なクマのフンを見ると、やはりヒヤッとしてしまいます。

子連れのクマは怖いですから。子連れでなくでも嫌ですけどね。このフン、言うまでもなく、クマが生息するという痕跡です。動物の痕跡をたどる楽しみもありますが、こういった危険を回避するために も、動物のフンを見分けることはとても重要。

そこで、こちらのハンドブックがおすすめです!

\\フィールドに持っていくならコレがオススメ//

持っていくだけで、山登りが数倍、楽しくなりますよ!

なお、クマはとても危険な存在ですが、本州のツキノワグマは地域絶滅してい る場所もあり、保護していかなければならない動物でもあります。

さらにツキノワグマは、アンブレラ種と呼ばれる、簡単に言えばその生態系、 生き物のバランスを保つ「鍵」の役割をする動物でもあるのです。

青森県から秋田県にまたがる「白神山地」など、クマが多く生息するエリアに 行くと、この写真のような「熊の爪痕」を観察することが出来ます。

これは縄張りの印ですよ。

里山の風物詩「 野うさぎ 」

クマとは打って変わって、出会えると本当に嬉しくなる生き物、ニホンノウサギです。

この写真は、山形県の山中で撮影したもの。ウサギは警戒心が強いため、出会うことができても、なかなか写真に収めるの に苦労します。

また、ライチョウ(雷鳥)のように、季節ごとに毛色が変化していくのも大き な特徴です。運良く出会うことができたら、観察してみてください!

伝統的な猟法が存在するなど、人間との付き合いが長いウサギは、里山の風物詩でもあります。

最後に

山で出会うさまざまな生き物やその痕跡について、紹介しました。

登山では他にも、ニホンカモシカオコジョタカフクロウなどの猛禽類キツツキライチョウ、そしてキツネタヌキなど、たくさんの動物に巡り合うことができます。残念ながら、彼らの写真はまだ撮ったことがありません。

いつかきっとこの手で、写真に収めたいと思っています!

登山中、運が良ければ、一日で何種類もの動物に巡り会うことができます。全く会えないこともありますが、そんな時は、ご紹介した痕跡や、小さな生き物など、注意深く観察してみるといいでしょう。そこには、生き物の気配であふれる賑やかな森が、確かに存在するのです。

あなたも生き物を観察しながら、山を歩いてみませんか?

【この記事で紹介した書籍はこちら】

 

【 この記事を書いた人 】

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