これを読めば、あなたもタニラー?多肉植物の不思議な魅力

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タニラーという言葉を聞いたことはありませんか?多肉植物をこよなく愛する人々のことです。多肉植物と聞いてもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、サボテンのように世界の乾燥地帯に自生する乾燥に強い植物のことをいいます。

サボテンも多肉植物の一種ですが、古くから園芸品種として流通し品種の数も多いため、他の多肉植物とは区別して扱われています。タニラーに愛される多肉植物は、サボテンとはちがって、トゲがなく丸い肉厚の葉をもつ傾向があります。

花のような形をしていたり、うさぎの耳のようだったり、バラエティに富んだ多肉植物には、一度ハマると“沼落ち”してしまうタニラーさんが多いのだそう。

多肉植物はなぜ乾燥に耐えられるの?

多肉植物はなんと1ヶ月ぐらい水やりをしなくても、枯れることはありません。植物に必要な水がない状態で、なぜ平気なのでしょうか?

その答えは「」にあります。

多肉植物は特徴的な厚みのある葉に水分を蓄えることができるのです。多肉植物の葉はたいてい「角皮」という丈夫な膜で覆われ、水分の蒸発を防いでいます。また、他の植物にはある気孔がかなり少なく、蒸散をほとんどしていません。

さらに、葉にワックス状の膜があり、強い陽射しを避ける種や、葉に細かい毛を生やし霧の水分を効率よく集める種もあります。多肉植物が、ここまで乾燥に強い性質になったのには、理由があります。多肉植物が自生するのは、乾燥した砂漠や岩場など、厳しい環境の土地なのです。

生まれた土地の環境に合わせて進化するうちに、見事なまでに乾燥に強い多肉植物というジャンルが生まれたのです。その姿は、温暖な気候に暮らす日本人の目には不思議だったり、かわいいものとして受け入れられ、今では多くのタニラーさんを夢中にさせています。

タニラー用語集

多肉植物の愛好家=タニラーさん達は、マニアにしかわからない独特な言葉を使っています。アイドル、鉄道、などの世界では専門用語があるのは知られていますが、多肉植物の世界でもおもしろい言い回しが飛びかっているのです。たとえ多肉植物を育てていなくても、読むだけで楽しいタニラーさん用語をいくつかご紹介します。

①【多肉狩り】多肉植物を買いに行くこと。
②【ホムセン】ホームセンターのこと。HCともいう。
③【焦げる】葉が陽射しで葉焼けをすること。
④【溶ける】育てていた多肉植物が枯れてしまうこと。かわいい多肉が枯れてしまうのは本当にショックなので、このような婉曲な言い方が生まれた可能性あり。他には「星になる」とも言われる。
⑤【ジュレる】夏の暑さや冬の寒さにより、葉が変質して再生不可能な状態になること。透明感が増し、一見“ジュレ(=ゼリー)”のような綺麗な姿になるが、一度ジュレると再生はむずかしい。
⑥【タニパト】多肉パトロールの略。自宅にある多肉植物を異常がないか観察すること。
⑦【こぼれ多肉】落ちた葉から芽を出した多肉植物のこと。
⑧【FFK(エフエフケー)】増えて増えて困る、の意。
⑨【オルトラン風呂】住友化学園芸の薬剤「オルトラン」を溶かした液に多肉植物をつけて、ついてしまった虫を退治すること。オルトランには、顆粒タイプと水和剤タイプがある。

多肉植物を育てるポイント

多肉植物には、他の草花とはまったく違う育て方のコツがあります。それさえ覚えておけば、過酷な環境に自生する多肉植物は、丈夫で育てやすい性質を持っています。品種により多少の差はありますが、多くの多肉植物に共通する育て方のコツをご案内します。

水をあげすぎない

多肉植物に一番大切なのは、水をあげすぎないことです。水をあげすぎると根腐れをしてしまい、回復するのがむずかしいほど弱ってしまうことがあります。草花のガーデニングとは異なり、多肉の場合は、土の表面が乾いてから、さらに1週間から10日経ってから、水やりをするのがちょうど良いぐらいです。

こまめにチェックする

こまめにチェック=タニパトをすることはとても大切です!丈夫とはいえ、虫がついたり、病気になることもある多肉植物。早めに異常に気づいて、その葉を取り除けば、株全体を傷めないですみます。変化に気がつくのが遅れてしまったときには、無事だった葉を土に挿し(=葉挿しという)、増やすこともできます。

初心者におすすめの種類

エケベリア

エケベリアには現在1000種類もの品種があります。エケベリアといえば、バラの花の形のようなものが有名ですが、他にも多様な品種があります。エケベリアという名は、1970年代のメキシコの大統領の名前と同じです。その名の通り、多肉植物の世界でも代表的な品種となっています、透明感のあるエメラルドグリーンの肉厚の葉を持つエケベリアが多いですが、一部がピンク色だったり、白や黄色の品種もあります。エケベリアの中でも丈夫なのは「白牡丹」と呼ばれる品種です。白牡丹は耐寒性もあり、毎年花を咲かせてくれます。

セダム

セダムは、花壇用の苗としても流通しているほど、見た感じは多肉植物らしさの少ない品種です。約420の品種がありますが、日本国内では、耐暑性、耐寒性ともに優れた育てやすい品種が流通しています。セダムの名は、ベンケイソウ科の植物を広く指したラテン語(sedum)から来ていると言われます。夏の直射日光にも強く、冬の寒さにも耐えることから、屋外でも育てやすい品種です。セダムは入手しやすいだけでなく、多肉植物の中で丈夫で扱いやすい品種です。寒さにより紅葉する性質があり、季節感も味わえる多肉植物です。

カランコエ

カランコエもセダムと同じように普通の鉢花として流通していて、入手しやすい多肉植物です。10cmほどの小さめのものから3mほどの高さになるものまで、140種類ほどの多様な品種があります。花が少なくなる冬に花を咲かせることから、ヨーロッパでは、クリスマスを彩る花としても人気です。カランコエは色鮮やかな花に緑の葉を持つため、多肉植物だとは知らずに、他の草花と同じように水やりをしてしまって枯らせてしまう例もあるようです。多肉植物の中では比較的寒さに弱い性質がありますが、水をあげすぎないというコツを守れば、うまく栽培できるでしょう。

多肉植物の楽しみ方

マグカップ

マグカップを容器にできるのは、多肉植物ならではの楽しみ方です。カラフルなマグカップと白や黒など無地のマグカップではまったくちがった印象になるので、インテリアに合わせてお気に入りのマグカップを選んでみてはいかがでしょうか?大きすぎたり重すぎたりして、飲み物を飲むのには向かない思い出のマグカップを生かすのもおすすめです。

ブリキ

ブリキのミニバケツは多肉植物のイメージにぴったりのアイテムです。100円ショップでも簡単に手に入りますので、まったく同じ容器にするのはもちろん、サイズちがいのブリキ容器で統一感を出すのも素敵です。ブリキの長所は、軽く汚れがつきにくいところと経年変化でへこんだりしてもアンティーク風の味わいになるところです。無地の市販のブリキだけでなく、お菓子が入っていたブリキなどの空き容器を上手に使っているタニラーさんもいます。

寄せ植え

一つ一つは小さな多肉植物ですが、寄せ植えをするとボリュームが出て、華やかになります。画像のように、同じ品種をとりまとめるとまとまりも出ますし、育て方も同じなので、初心者の方には管理しやすくなります。

終わりに

多くの人が魅了される多肉植物には、見ているだけで楽しくなるような専門書も多く出ています。ネット上にも情報は多くありますが、時には紙をめくって、美しい多肉植物を眺めてみるのもおすすめです。

多肉植物エケベリア Guide To Echeveria

数多くあるエケベリアの品種を詳しく知りたいなら、この本が一推しです。品種不明の「エケベリア」として売られていた場合も、この本で調べると品種名まで知ることができそうです。品種ごとに感心するような名前がつけられていて、ネーミングの妙も楽しむことができます。エケベリアの写真集のような一冊です。

はじめての多肉植物 育て方&楽しみ方 (基礎の基礎からよくわかる)

多肉植物の植え替えや寄せ植えのやり方から株の増やし方まで、初心者にもわかりやすく写真入りで解説されています。選べないほど豊富な品種の中から、人気の多肉植物がピックアップされていて、品種選びの参考になります。多肉植物のことを知りたいなら、まずはこの一冊が役立つでしょう。

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