秋といえば、木々が色づく紅葉のイメージがありますが、草花のガーデニングでは“スタート”の時期でもあります。
秋に球根を植えることで、春に咲く花を楽しめますし、秋に開花している苗を植えつければ、秋から冬まで咲く花をすぐに楽しむことができます。
今回は、球根も苗も、一度植えれば毎年花を咲かせてくれるタイプの花をご紹介します。球根、苗、あるいは両方でも、お好みの花を選んで、秋からガーデニングを楽しんでみてはいかがでしょうか?
秋に球根を植えて、来年から花を楽しめる球根植物
秋植えの球根とは?
球根植物には春植えと秋植えがあります。春植えの球根は寒さに弱いのですが、秋植えの球根はその逆で暑さに弱い性質があります。
暑さが残る時期に植えてしまうと高温多湿で球根が弱ることがありますので、植える時期に注意しましょう。
また、本格的な寒さが来る前に植えつけて、根を張らせておくとことが大切です。まずは基本的な球根の植え方をご案内します。
【球根の植えつけ方】
1. 球根と培養土、5号(直径15cm)以上の植木鉢(※1)を用意する
2.球根の茶色い皮が簡単にはがれそうならはがしておく
3.消毒液で球根を消毒する(※2)
4.球根3個分の深さ、鉢なら球根1個分、プランターなら2〜3個分の横幅で穴を掘る
5.球根の頭が上になるよう植える
6.土をかぶせて水やりをする
※1.鉢に植える場合、植木鉢は8号鉢(直系24cm)ぐらいの大きさがあれば、一つの鉢でも充分な本数の花が楽しめるでしょう。もちろん、小さめの鉢いくつかに少しずつ球根を植えてもかまいません。
※2.その年に買ってきたばかりの球根は病気に冒されていることはまずないので、消毒は省略しても大丈夫です。自分で掘り上げた球根を消毒したいときには市販の球根用消毒液を表示のとおりに薄めて、球根全体を浸す方法をとります。ネットに入れて浸すと作業が楽になります。
文字を追って作業をするのが大変な場合には、球根の植え方を紹介する動画もたくさんあり、便利です。
どんな球根植物も球根の植え方はほぼ共通していますが、花の種類によって植えつけるときの深さや間隔が違います。
続いて、おすすめの花別に具体的な植える深さなどをご紹介します。「植える深さ」は、球根の頭から地表までの高さを指しています。
チューリップ(原種)
植えつけ時期 | 10〜11月 |
植える深さ | 3cm |
植える間隔 | 3〜5cm |
8号鉢には | 10球 |
チューリップを植えっぱなしで毎年花を楽しみたい場合には、球根の選び方が重要になります。
園芸用のチューリップの球根は、夏の高温多湿で傷みますので毎年掘り出し、秋に植える必要があります。
ですが、「原種」のチューリップを選べば、そのまま植えていても数年間はそのまま開花してくれます。原種のチューリップは、一般に知られているチューリップと趣は異なりますが、小ぶりで可愛らしい花ですよ。
アネモネ
植えつけ時期 | 10〜11月 |
植える深さ | 2〜10cm |
植える間隔 | 5cm |
8号鉢には | 10〜15球 |
関東地方では、浅めに植えて大丈夫ですが、冬期に霜が降りる地域では、7〜10cmぐらいを目安に深めに植えましょう。向きは、平らなほうを上にします。
アネモネは、植えっぱなしでも翌年以降も花を咲かせてくれます。夏は地上部が枯れますので、鉢ごと感想させて夏越しをさせます。
ただし、用土ごと乾燥させるのはむずかしいこともあります。うまく乾燥させられないときには、初夏のうちに掘り上げて秋に植えつけをする方が安心です。
ムスカリ
植えつけ時期 | 10〜11月 |
植える深さ | 3〜5cm |
植える間隔 | 5〜6cm |
8号鉢には | 12〜16球 |
ムスカリは、3年ぐらいはそのまま植えていても毎年花を咲かせてくれます。年数を追うごとに球根が大きく育ってきて窮屈になり、花が小さくなって葉ばかりが伸びるようになります。
花をよく咲かせるためには、3年周期ぐらいで掘り出して分球し、まだ植えつける必要があります。
秋に苗を植えて、秋から花を楽しめる宿根草
リンドウ
開花時期 | 9月上旬〜11月 |
耐寒性 | ◎ |
耐暑性 | ◯ |
置き場所 | 日向 |
乾燥には | 弱い |
リンドウの開花時期は9月から11月で、花の最盛期は9月中旬から下旬ごろです。
花を長く楽しみたいなら、9月中には苗を植えつけるのがいいでしょう。ただ、多少時期が遅くなってしまっても、リンドウは来年も楽しむことごできます。冬の時期には霜が降りるほどの寒さでなければ、屋外でも冬越しができるのです。
リンドウの世話で気をつけたいのは「水やり」です。
園芸用の花は、水のやりすぎによる根腐れが心配な品種が多いのですが、リンドウには乾燥に弱いという特徴があります。水が切れてしまうとすぐに葉が傷み出すのです。土が乾燥しないよう、こまめに水やりをしてください。
また、乾燥に弱いとはいっても日陰を好むわけではなく、日当たりの良いところの方が花をよく咲かせます。日照不足だと、茎や葉ばかりが茂って花つきが悪くなりますので、直射日光を避け、日向に置きましょう。
宿根サルビア
開花時期 | 9月中旬〜12月上旬 |
耐寒性 | ◎ |
耐暑性 | △ |
置き場所 | 日向 |
乾燥には | やや強い |
サルビア属の花は世界に500種類以上もあるとされ、一年草のサルビアと宿根サルビアに大別されます。
「宿根(しゅっこん)サルビア」は、一年で枯れてしまうことなく、根が生き続けて、翌年にも花を咲かせるタイプのサルビアのことです。宿根草サルビアにもたくさんの品種があります。
宿根サルビアは、夏に咲く一年草のサルビアよりも少し開花時期が遅く、9月中旬〜11月中旬まで咲きます。その頃には開花した苗が流通しますので、プランターや庭に植え付ければ、来年も楽しむことができます。
一年草のサルビアもうまくいけば冬越しできることがありますが、宿根サルビアなら、日本で冬越しができるように改良されているのでより安心です。
宿根サルビアの特長は、屋外でも冬越しができることです。霜が降りるほど寒い地域では、株元に土寄せをするなど簡単な防寒対策が必要になります。
土ではなく、バークチップという樹皮を乾燥させたチップを株元に被せる方法もあります。日常の世話では、適度な湿度を保つことが大事です。土の表面が白っぽく乾燥したら、鉢底に水が流れ出すぐらいたっぷりと水をやると良いでしょう。
宿根草サルビアは品種によって性質も少しずつ異なります。品種に合わせて管理することも大切です。
おわりに
おだやかな陽射しが降りそそぐ秋は、ガーデニングに適した季節です。
もし、花を育てることに少しでも興味が湧いたら、春まで待つのではなく「秋こそできるガーデニング」を試してみるのがおすすめです。
今回は、一度植えたら何年かはそのまま楽しめる花をご紹介しました。ぜひ、身近に花を置いて育ててみてください。
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【 この記事を書いている人 】
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