お花で気分を変えよう!花の歴史と色彩心理:第10回【チューリップのシックな黒】

暮らし

あまり見かけない黒い花ですが、園芸品種として歴史の長いチューリップには黒い品種があります。黒いチューリップがどんなふうに作られたのか、いつ頃からあるのか、などエピソードを紹介していきます。

黒いチューリップの歴史


チューリップの本場、オランダでは、チューリップが1593年に初めて植えられてから、徐々に人気が高まります。17世紀にはチューリップブームが到来し、希少価値のある球根には高値で取り引きされました。当時、花壇にチューリップを咲かせることは、富の象徴だったのだそう。やがて、一般市民もチューリップに投資をするようになり、「チューリップバブル」と呼ばれる時代に突入します。その後、1637年に突然、チューリップは値下がりして、オランダ中が混乱し、政府の介入により収束したのだそうです。

この頃のことをデュマは小説『黒いチューリップ』に書いています。高価な黒いチューリップの球根をめぐる駆け引きを実際にあった政治的な事件に絡めて書いたこの小説の中では、黒いチューリップの栽培に成功したという設定になっています。

実際には、黒いチューリップが生まれたのは、300年以上も先の1944年のことです。品種名は「クイーンオブナイト」で、黒に近い紫色の花は今も人気があります。もともとチューリップが持つアントシアニンを濃くして、黒に近い色を出しているのだそうです。その後、さらに黒さが増した「ブラックヒーロー」「ブラックチャーム」などの品種も生まれました。

17世紀のチューリップバブルは、オランダの一般市民を巻き込んでいたため、チューリップはしばらくの間は人気が下火になってしまったとか。それでもチューリップの栽培を続ける人がいて、人気は復活し、今ではチューリップはオランダの国花になっています。

なぜ黒い花はめずらしいの?


黒いチューリップは長い時間をかけて、ようやく誕生しました。他の花でも、黒い色はほとんど見かけません。なぜ、黒い花は自然にはあまり咲かないのでしょうか?

答えは「昆虫に見てもらえないから」です。実は昆虫は黒い色は見ることができないのだそう。花は昆虫に見つけてもらえないと受粉をすることができず、生き残れません。そのため、自然界では、昆虫にとってよく見える明るい色の花が多いのです。花を作る色素にも、もともと黒い色素は存在していません。今ある黒い花は、3種類の色素を組み合わせて黒に見えるように作られているそうです。

花は、色の他にも香りや花の形で、昆虫を誘っています。たとえば、クロユリは野生に咲く近い紫色の花ですが、目立ちにくい花の色を補うように独特の香りで虫を寄せつけるのだそうです。

黒い花は他にもあるの?

自然界では生き残るのには向いていない黒い花ですが、花を買う人たちにとっては魅力的な存在です。黒い花の魅力は、そのめずらしさだけでなく、他の色の花には出せない大人っぽさや芸術的な雰囲気を出せること。最近は、チューリップ以外の花でも、黒い花の品種改良が進んでいます。すでに黒い花があるのは、バラ、パンジー、ビオラ、ペチュニア。黒に近い焦茶色の花が出ているのが、カーネーション、チョコレートコスモスです。

チューリップの花言葉と色彩心理

チューリップ花言葉


チューリップ全体の花言葉は「博愛」「思いやり」です。チューリップには、色別の花言葉もあります。たとえば、赤いチューリップは「真実の愛」、ピンク色のチューリップは「誠実な愛」です。白いチューリップの花言葉は「失われた愛」なので、フラワーギフトを贈るときには注意が必要ですね。気になる黒いチューリップの花言葉は「私を忘れてください」です。白いチューリップと同様に、贈り物にするにはあまり向かない花言葉ですが、心機一転、新しい気持ちになりたいときにはふさわしい言葉かもしれません。

黒色の心理効果

黒色は、【高級感】【自信】【威厳】などのイメージがあります。黒色は闇や絶望などのマイナスイメージを持たれがちですが、洗練された格式の高いイメージが備わっています。クレジットカードでもゴールドより格式が高く、高級感をもたせることのできる色です。また、黒色は【自己確立】【意志の強さ】【責任感】などを表し、自分で決めたことを最後までやり抜く力があります。

黒白に惹かれる時は「自分を確立していこうとする時」「人と距離を置きたい時」「自己の考えを深めたい時」などです。将来について深く考える10代後半〜20代に人気の色でもあります。信念を持ち、やり遂げる意欲を持ちたいときにサポートしてくれる色でもある一方、「コミュニケーションを求めてる時」「心を自由にしたい時」などの外的思考のときには向かない色です。

「自分を守り人と距離を置きたい時」「自分に集中したい時」などに積極的に黒色を取り入れることで、自分に目が向き迷いや、将来についての良いヒントを得ることに繋がるかもしれません。

黒色を好む人

黒色を好む人は自立心が高く、意思の強い人です。強い精神力を持ち様々な困難にも立ち向かうことのできる人。自分で決めたことは最後までやり抜く力を持っています。無責任な発言やテンションやノリで物事を決めるのを好まず、合理的で堅実な暮らしを好んでいます。反骨精神も旺盛で人の目を気にしません。とにかく自分のやるべきことに集中できる人です。

また、人を動かす力にも長けていて、発言力がある人です。経営者や管理職に向いています。黒色を好む人の中には、「黒の心理に頼りたい」「自分の意志を貫きたい」「威厳が欲しい」など無意識に黒を選んでいる人がいます。もし、そういった傾向がある場合には、スポットを「心を開放する」「自由になる」といったことに当て、改めて色を選択すると良いかもしれません。

記事監修(色の心理効果):milieu
参考著書:色と性格の心理学

おわりに

今回は【チューリップ】と、【黒の心理】について紹介しました。この機会に、お花と色彩心理から”自分らしく暮らす”ライフスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。次回は、第11回:お花で気分を変えよう!花の歴史と色彩心理【すがすがしいカーネーションの緑色】です。ヨーロッパでは、春の訪れを知らせる花として親しまれるお花【カーネーション】【緑を紹介していきます。

↓↓今回参考にした著書はコチラ↓↓

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