はじめに
私たちの生活の中にすっかり根付いているハーブ。最近では美容や健康の他、多くの分野で良い効果をもたらすとされメディアでも人気の植物です。そんなハーブの歴史をたどってみると、人間との関わりがとても深い植物のようです。どのような関わりがあったのでしょうか?今回のお話は、織田信長とハーブのお話です!信長とハーブには一体どんなつながりがあったのでしょうか?それでは「歴史の中のハーブのお話 : 第四話」をのぞいていきましょう。
第四話 : ペストにかからなかった泥棒4人組のお話
14世紀のヨーロッパでは感染症のペストが大流行し、多くの人々の命を奪いました。まだウィルスの正体が明らかではなく、ペストは黒死病と呼ばれ大変恐れられました。コロナ禍でも感染への恐れは大変なストレスになりますが、正体がわからない分、当時のペストはもっと怖かったことでしょう。
ペストはその後も流行を繰り返します。15世紀に入った1630年頃、ペストの蔓延で危機的状況のなか、南フランスのトゥールーズでは盗みを繰り返す4人組の盗賊がいました。彼らはペストにかかった人の家に盗みに入っているのに、なぜか感染することがありません。
【イラスト:たなか鮎子】
幾度も盗みを繰り返し、ようやく捕らえられた4盗賊。警察は刑を軽くすることと引き替えに、ペストにかからない秘密を聞き出します。
その秘密はなんと「ハーブ酢」でした!!彼らは、
・セージ
・ローズマリー
・ニンニク
・ミント
・シナモン
・ナツメグ
・ショウノウ
などたくさんのハーブを漬け込んだ酢を手作りし、それを身体に塗ったり口に含んだりしながら、犯行に及んでいたのです。使われたハーブは、《抗菌》、《強壮》、《鎮静作用》など、優れた効能があるものばかり。
ハーブも酢もウィルスには効かないことがわかっていますが、ハーブ酢には身体の免疫力を上げて感染を防ぐ効果はたしかにあったのでしょう。
4人の盗賊は、ハーブ酢の情報と引き替えに、無罪放免となったと伝えられています。フランスの国全体がペストによって苦しめられていて、どうにかして風穴を開けたかったのでしょう。ハーブ酢のレシピは、1748年にCODEX(コーデックス=世界的に通用する食品規格)にも載せられました。南フランスでは今でも“Vinaigre des Quatre Voleurs(4人の泥棒の酢)”という名でこのハーブ酢が売られているそうです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?第四話の今回は「4人の泥棒とハーブのお話」をご紹介しました。
ここ地球には多くの自然が存在しています。私たちはその自然に大きく支えられながら暮らしています。そして自然にはさまざまな言い伝えや歴史が多く語られています。その物語は普段生活をする中では知ることのできないステキな物語ばかりです。さまざまな物語を通して、自然を知る、楽しむきっかけになれたら幸いです。
次回のお話は4月の公開です。第五話「日本でいちばん古い?!ハーブのお話」をお届けします。
記事イラスト:たなか鮎子
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【この記事を書いている人】
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