John Muir Trail -ある夏の私の旅- 【2日目】

トレイル

8月23日【Day2 Little Yosemite Valley → Cathedral Lake 19.2km/27.1km】

前日はよく眠れた。

5:00過ぎに起きた。朝ご飯を作って食べる。今日も歩く。もう携帯は繋がらない。パッキングをして、まだ太陽が昇りきらないうちに出発した。

この日は最初から急登だった。しかし、前日のストレッチが効いたのか、足をつることなく歩けた。

他のハイカーとのあいさつがとても心地よい。どの人もみな、楽しんでいる。急登でも、嫌な顔一つせずに登っていく。こちらまで楽しくなってくる。水の飲み方も少し慣れてきて、やっていけそうだ。

歩いていると、自分と同じ方向から歩いてくる人よりも、前から歩いてくる人の方が多いことに気が付いた。聞いてみると、登りが少ないから南から歩いているという人が多かった(Yosemiteからスタートすると北から歩いていることになる)。

なるほど、そういえば私は、今から北米大陸本土最高峰を目指すのだ、と再確認する。また、ほとんどがいわゆるセクションハイクで、John Muir Trailの一部を歩いている。全部をスルーハイクしている人は、私がトレイル中にあった人の中で3、4人ほどであった。

とても空気が乾燥していて、少し歩いては、何度も水分補給を繰り返した。水は近くの川や湖からいくらでも手に入れることができるので、冷たい水を遠慮なく、たくさん飲める。

この日は何個もある峠のうちの、最初の峠を越えた。峠の上で飲む水は最高だった。

改めてアメリカの大きさを感じた。心が解放されるようだった。知っている樹木もあるが何だ、これは、と思うほど奇妙な姿をしている植物もあった。

このような川を、何度も渡っていく。周りには誰もいない。シカにも会い、大自然の中にいることを実感する。

アメリカらしい、険しい山々を横に見ながら、ただひたすらに歩いた。

アメリカに来る直前に日本の北アルプスを縦走していたので、体力はあった。ただ、アメリカを歩いているというのと、一人で歩いているというのが違った。この日は9時間ほど歩き、よい湖を見つけたのでそこを寝床とすることにした。

しっかり歩いたのはこの日が初めてだったので、疲れもあった。テントを張る前に岩の上で大の字になって昼寝をした。風が心地よかった。

湖のほとりに座っていると、あぁ、私は今一人だ、と実感する。これから続く想像もできない日々に、少し不安を感じる。

湖で体を洗い、のんびりしと夕飯を食べた。ココアを飲んだら落ち着いた。紫色の空を眺めていたら、いつしか星が出てきて、暗くなってきたので眠った。

周りには誰もいなかった。静かだった。とても静かな夜だった。

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