星には明るい時と暗い時がある?!星の明るさの変わり方とは

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明るさを変えていく星たち

夜に星を眺めていると、「あの星、昨日とは明るさが違うかも!」と思ったことはありませんか?月が通常より明るく見える「スーパームーン」は有名ですが、星の明るさはいつ見ても変わらないと思っている方も多いのではないでしょうか。

実は、星の明るさも移り変わっていくものなのです。

例えば、自ら光り輝く恒星は、そのエネルギーを使い果たして寿命を全うするときに、星自身が膨らんだり縮んだりと不安定な時期に入ります。星が膨張と縮小を繰り返しているこのときこそ、星が明るさを変える代表的なタイミングです。

2019年に広まった、「オリオン座のベテルギウスが見られなくなるかもしれない」という仮説は天文学界隈をたいへん賑わせました。この説が挙がったのは、ベテルギウスが今までと比べて暗くなり、巨大な星の末期現象である超新星爆発が起こるのではないかと考えられていたからです。

星の明るさの変化は肉眼で観測できる?

「星の明るさが変わったとしても、日常に夜空を見上げるだけではなかなか気づきません。」

このような考えはもっともです。土星の環や木星の縞模様は望遠鏡でないと観測できませんし、星の細かな部分は肉眼では観察できないと思うのも無理はありません。

初めて明るさが変わる星が発見されたのは1956年。ドイツの天文学者D.ファブリチウスは、くじら座にある2等星が徐々に暗くなっていき、2か月後には肉眼では全く見えなくなったことに気がついたのです。このように、私たちが観測できる、数十年以内の間に明るさが変わる星を「変光星」と呼びます。

こうして初めて発見されたくじら座の変光星は、「ミラ」と名付けられました。ミラは、ラテン語で「びっくり」という意味があります。ファブリチウスがミラを発見したのはまだ望遠鏡がない時代ですから、さぞかし「びっくり」したことでしょう。

変光星を見るには、どうすればいいのか?

くじら座のミラ、オリオン座のベテルギウスなど、いくつかの変光星は肉眼で観察することができます。

くじら座のオミクロン星ミラを見つけるには、まず秋の四辺形(ペガススの四辺形)を見つけることから始めます。秋の四辺形は、ペガサス座のマルカブ、シェアト、アルゲニブ、アンドロメダ座のアルフェラッツで出来ています。そして、秋の四辺形の左側には橙色に輝くおうし座のアルデバランがあるはずです。おうし座と秋の四辺形の間にある、くじら座の2等星ディフダも見つかるでしょうか。アルデバランとディフダのちょうど真ん中あたりにあるのが、変光星のミラです。

暦計算ウェブサイトや、今日のほしぞらでは、星座の見え方などを事前に調べることができます。ミラの明るさがどれくらいか調べてから、数日間観測してみると明るさの変化を楽しめます。

ちなみに、くじら座のミラは約330日の周期で2等級から10等級まで明るさが変化します。「ミラを探しているのに、なかなか見つけられない」というときは、ちょうどミラが暗くて見つけづらい時期なのかもしれませんね。

様々な変光星

くじら座のミラ、オリオン座のベテルギウスは、星の寿命が近づくことで構成が不安定になり、明るさが変化することを説明しました。寿命によって明るさが変わる星も多いのですが、星の明るさが変わる原因はそれだけではありません。

ペルセウス座にも、アルゴルという変光星が潜んでいます。アルゴルは、ミラとは異なる形で明るさが変化する星です。地球から肉眼で見ていると、アルゴルは1つの星に見えます。しかし、アルゴルは3つの星から成る連星で、そのうち2つの明るい星と暗い星が、お互いに相手を隠しあうことでアルゴルの明るさが変わっているように見えるのです。

さらに、アルゴルは2~3日でおおよそ2.1等級から3.4等級まで明るさが変化します。アルゴルは比較的短い周期で明るさが変化するうえ、肉眼でも観測しやすい範囲で明るさが変化するので、気軽に変光星を観測したい人にはうってつけです。

その他にも、爆発を繰り返している変光星や、ススをまき散らしている変光星などがあります。人に個性があるように、変光星にもそれぞれ個性があるのですね。

まとめ

今回の記事では、明るさを変えていく星々のお話をしました。

人が生きている数十年の間に明るさの変化を観測できる星を変光星といい、明るさを変えていく方法は様々なパターンがあります。恒星の寿命が近づいて、大きさや温度が不安定になるのが代表的な変光星の姿です。くじら座のミラ、ペルセウス座のアルゴルなど、肉眼でも明るさの変化を捉えられる変光星もあります。

変光星を眺めていると、「変わらないものは何もない」ということを感じさせられます。ガリバー旅行記の作者、ジョナサン・スウィフトの「この世で変わらないのは、変わるということだけだ」という名言を彷彿とさせる、と言えば言いすぎでしょうか。

数日間にわたって星空を眺める時間を取れるときは、ぜひ変光星を探してみてくださいね。

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