■登山データ
青梅駅(190m)⇒青梅鉄道公園⇒矢倉台(383m)⇒三方山(454.3m)⇒雷電山(494m)⇒榎峠登山口(245m)⇒軍畑駅=沢井駅
夏は高山に登り、地上とは違う景色を見るのがもちろん最高なのですが、蒸すような暑さの中で、強い緑の濃さを感じるのも味わいのひとつではないかと思います。ひと汗かいた後に、涼やかな渓流の眼にして一息つきたい、そんな期待も込めて多摩川沿いの青梅丘陵のハイキングコースへ向かいました。
スタートはレトロな看板が目印の青梅駅です。多摩川北部に広がる300mから500mほどの丘陵を歩き、軍畑駅がゴールの計12㎞ほどを歩きます。駅からアクセスでき、案内板などの整備もされているので、トレイルランやウォーキングなどにも人気のコースだそうです。
よく紹介されているコースは、軍畑駅から雷電山を登り、青梅駅をゴールとしているのですが、帰りに沢井駅に寄りたかったので、今回は青梅駅からスタートします。JR青梅駅を出て線路の北側にある青梅鉄道公園側から、整備された丘陵コースに入ります。矢倉台までは休憩所が4ヶ所あり、途中に青梅市街に降りる道もあり、体調や体力に合わせてコースを進めるように配慮されています。
【雷電山コースへの案内板】
駅から40分ほどで矢倉台に到着しました。外敵の監視をしていた物見櫓(ものみやぐら)があったとされる場所で、現在は青梅市街が見渡せます。青梅市の名前は平将門の伝承が由来とされていています。将門が梅の枝を地面に差し、「我が願いがかなうならば栄えよ。そうでないならば枯れよ」と言ったところ、梅の木は枯れることなく大きく成長しました。この木になった梅の実は秋を過ぎても青いままだったそうです。真相はともかく、青梅はその名の通り梅の名所でも有名ですね。何年か前のハイキングの後に、植樹中の青梅梅郷を訪れたことを思い出しました。
ここから先は徐々に道も狭くなり、上り下りを繰り返しながら、ピークの雷電山まで向かいます。鉄塔の横を通るとほどなく分岐点があり、その先は三方山、マスガタ山、物見山と続きます。雷電山の手前に辛垣(からかい)山という山があります。ここは昔、お城があったそうで、堀や積み上げられた土の跡にその面影を見ることができます。
青梅丘陵で一番高い雷電山に到着しました。ここまでたくさん汗もかきながら、休憩を含めて2時間半ほどかかりました。一息ついてから軍畑駅に向けて下山します。ここから道は急な下りです。木製階段の道が続きます。根のはった道もあり、足元に注意しながら進みます。
榎峠登山口から軍畑駅の間に、ひときわ青く浮き上がる一帯がありました。緑に覆われた夏山で、そこだけ浮かび上がって見えました。葉の形からするとシダ系の植物のようです。気になって調べてみたところ、中国原産のコンテリグラマゴケというシダ類の植物にたどりつきました。(もし確かな情報ありましたらご教授ください)暑さを一瞬忘れる神秘的な青色でした。
【神秘的なコンテリグラマゴケ(?)】
ちなみに青梅市に自生する植物で、福寿草の野生種の一種と言われる青梅草(オウメソウ)という植物があります。青梅草という名前ですが、冬の終わりから春先に黄色い花を咲かせます。時期にはこの一帯でも見ることができるのかもしれませんね。
【青梅草】
道の向こうに踏切が見えてきました。軍畑駅はすぐ近くです。濃い緑の向こうに続く道は、初めて目にした光景なのに懐かしさを感じます。いくつになっても夏は特別なことが起こりそうな季節、この日もまた、この先のいつかの夏の思い出になるのでしょう。
【道の向こうに踏切】
【無人の軍畑駅】
軍畑駅から一駅乗車して沢井駅で下車しました。駅から近いところに澤乃井酒造などがあり、多摩川を眺めながら食事やお酒がいただけます。残念ながらこの日はお酒の提供はありませんでしたが、おいしい豆腐料理等を楽しみました。気持ちのいい庭園などもあり、多くの人でにぎわっていました。
【吊橋から眺めた多摩川】
多摩川沿いには整備された遊歩道もあり、御嶽駅や軍畑駅まで歩くこともできます。秋には紅葉で赤や黄色に染まるそうですが、この日は青々とした夏の渓流です。多摩川のきらめきとはり出した木々の強さ、重量感のある雲、夏の青梅丘陵を満喫した一日でした。
&Green 公式ライター
20代後半に連れて行ってもらった低山縦走コースで登山の楽しさに目覚める。一時期体調を崩したが、数年前から関東近辺の低山中心に日帰り登山を楽しむ。コーヒーが大好き。人生後半の暮らし方についてトライアンドエラーの日々。