北海道、男3人バックパックの旅
僕は東京に住むデザイナー兼イラストレーターです。
このコラムでは、山やトレイルに行けない時間に、私が描いた1枚の絵(1シーン)とともに、その絵にまつわる物語を少しだけお話しさせていただこうと思っています。
今回は、若かりし頃の男3人バックパック旅行のお話。
五色ヶ原から帰ってきて、山の空気感が抜けないまま日常に戻っていきましたが、僕の通っていた高校が山奥にあったこともあり、五色ヶ原後は近くの川に飛び込んだり、釣りをしたり、キャンプしたり、今思えば最高の環境で遊んでおりました。そんな中、五色ヶ原に一緒に行った男友達と北海道旅行へ行こうという話になりました。クラスメイトを一人追加した男3人での旅。荷物はバックパックのみ。寝袋と少しの洋服と少しのお金を持って、青春18きっぷを握り締め、北海道を目指します。
まさに青春!
当時、住んでた家は各自バラバラだったので、東京に集まり北上します。電車はすべてドンコで、乗り継ぎながら行ける所まで行こう!と、始まります。そんなゆったりした電車の旅が終わったのは仙台の街でした。特にハプニングもなく仙台の街に着きましたが、到着したのはもちろん夜なので、適当にご飯を買って、人通りの多い石畳に座り男3人おにぎりを頬張ります。と、ここで人生初の体験!!逆ナンされたんです。
今思えば、仙台の酔っ払いのおばちゃんグループだったんですが、数人の年上の方々が寄ってきて、あらーいい男が3人いるじゃないって笑!僕はいい男ではなかったのであまり絡まれなかったですが、一人の浅黒い益子くんが異様に絡まれ、ほっぺを撫でられ、キスされそうになっておりました・・・。
やりすぎだと言うことで別の女性たちが止めてどこかへ笑いながら消えていったある意味「恐怖体験」でございました。
お腹も満たされ、寝る場所を探さなきゃということで、街を徘徊しましたが、お金がもったいないということで、近くの河原の土手で寝ることに。なんという川だったかは覚えておりませんが、少し斜めな草の地面は意外と心地よく、すぐ近くに橋もあったので、いざ雨が降ってきたら、そこに潜り込もう!と。くだらない話を夜空を見上げながら話し、いつの間にか眠りについてました。
翌朝、早くに目が覚めたのは、土手を走るランニングチームの掛け声でした。よく言えば人生初のカウボーイキャンプ。寒くもなく薄っぺらい寝袋でよく寝られました。
2日目の目的地は北海道函館。
実は旅の目的は函館山からの夜景を見る、というなんともおバカな目的でした。朝飯を食べ、またドンコの旅が始まります。青森からは確か海峡という列車に乗り無事函館に到着。こちらでも街を歩き、北海道きたなら海鮮でしょっ!という安易な発想から、お金が無いながら海戦丼をいただき、函館山目指して歩きます。
1時間くらい歩いた頃にはすっかり暗くなり、今夜の寝床を探しつつ、函館山を目指します。ロープーウェイは使いません。徒歩で上まで向かいます。素敵な夜景を観にくるカップルがいる中、バックパックの汚い男3人が歩いて登ります。
途中まで登って振り返ったときの景色は、それはそれは綺麗でした。人工の光ですがランドスケープ感と、キラキラ光る無数の光はたまらんかったです。函館山といっても頂上までは行かず、展望台あたりまで行き、引き返して寝るところを探します。今だから言えますが、函館山の中腹のおそらく学校の敷地内の建設途中の小さな建物みたいな場所で寝ることにしました。疲れていたのですぐ寝ようと思ったが、蚊がめちゃくちゃいることに3人は気づきます。。。
しかしながら、大自然の中ではなく、意外と街の中のようなところなので、別の場所を探すのも困難だ、ということで、蚊のブンブンする中、なんとか就寝。。。
翌朝、バーナーでお湯を沸かしている時のことです。ひらけている少し先の広場に、狐が現れました。ゆっくり近づいて行きましたが、近くまではいけず、残念ながら逃げられました。。。寝ているところが微妙だったため、早々に退散して東京へ、またドンコで帰路につきました。
山で繋がった友達のひとりは、今はアカペラの有名人、もう一人は青山の一等地で社長をやっているとのこと。
また3人で旅することはあるのかなぁ。
今回は山でもトレイルでもなく、バックパックな旅のお話しでした。
また自由な旅に出たいものだ。
東京都在住。北アルプスでひと夏過ごしたり、バックパックでの旅、山、キャンプ、野外フェス、自然が大好きなデザイナー兼イラストレーター。アメリカをロードトリップした時のスケールの大きさに感銘を受け、やがてロングトレイルに出会い、PCT、JMTへの憧れを持ちつつ、日々絵を描いています。